村岡昌憲の大会参戦記。

トップへ戻る area
 
Battle
 
 

トップへ戻る >>> Battle -村岡昌憲の大会参戦記->>>2004年5月22日T.S.S.T.第2戦

2004年5月22日 -T.S.S.T.第2戦-

 

 

日本列島をかすめた台風はなんの傷跡を残すこともなかった。

しかし、その影響か冷たい北東風が吹き、鉛色の空がいつよりも低く感じる暗い夜。

同じように私生活の面において全体的に重く沈む毎日の中、TSSTに参戦。

とは言いつつ、実は久々の、しかも本気でできる釣りに心が躍っていた。

 

 

台風の雨は東京で感じただけでも結構まとまっていた。

川の上流にあたる埼玉でどれぐらい降ったかはわからないが、雨が止んで48時間ほどが経過した。

絶望から絶好へと移行する最もシビアな展開の狭間に今回のトーナメントタイムが合致した。

暗い光の中で見出す者、見失う者がいる。

思い通りにならない展開に自分を信じ続ける者、自分を疑う者がいる。

決して迷うまい。そんな覚悟を胸に会場へ。

 

 

 

今回の雨量はさほど際立ったものでもなく、いわゆる普通の雨だったように感じていた。

しかし、3日間ほど降り続いたことで一つの状況の読みを行った。

このような雨だと、都心の雨水汲み上げ施設の能力を超えることはない。

なので隅田川筋はあまり死なない。48時間という中で明らかな回復を見せると読んでいた。

 

一方のむしろ荒川筋や旧江戸川筋などは流域の上流からまともに濁りが入る。

これが回復するのがたいていは3日後。となれば川は一日早い気がした。

 

スタート直後、しばらく会場でのんびりと談笑し、落ち着いてから車に乗り込む。

まずは川の水の状況を見てみよう。

荒川へ向かう。

ただ、まともな河原に行くと見るだけでも時間をロスするので、荒川の影響を受ける運河に行く。

一応、タックルをセットしてポイントに着くと、ヘドリーがまだ強い。

かなりの数のアナゴの幼魚や木っ端ガレイが水面近くを泳いでいる。

この様子では底から水面まで完全に真水。ついでに青潮かヘドロで酸欠気味と思われる。

 

この苦しいベイトをどこかで待ちかまえているシーバスがいるはずなのである。

特に5月中旬という絶好のシーズン。

シビアな状況で明暗くっきりと別れるだろうが、釣る人は確実にリミットを揃えてくる。

その中で一つ抜き出るサイズを釣るためには川のスズキを意識した攻略をすべきではないか。

そんな考えが移動しているうちに頭の中を支配するようになる。

 

 

運河に架かる橋などを少し攻めたが、反応は皆無。

運河の中はまだ早いと判断し、運河を見切ることにする。

時合は下げ五分、このベイト達が流されるシーバス達が下流で待つとしたら。

冷たい北東風に頭に閃くポイント。

 

 

次の場所へ。

毎年秋に川を意識したシーバスが最初に入る場所。しかし、港湾部である。

釣りニュースでもおなじみの赤松のおっさんが、毎年のシーズンを占う場所としても有名である(はず)

ゴロタ場から50m程度の距離で一気に水深11mまで下がる激しいカケアガリがここの特徴。

ポイントに着くとバリバリの風表。

バチパターンであれば間違いなくリミットは揃うだろう。

 

 

にょろにょろでゴロタ際を攻めてみる。

風で出るラインスラッグを意識しながら際を通すこと5分ほど。

ヌッと出たバイトにアワすと魚が水面を割った。

ところがバレてしまう。

サイズはキーパーあるかないかだった。

 

 

波乱の展開を予想していたので、最低でもリミットメイクは必須だ。

まずはこれを取りに行くことにする。

ゴロタ際、水深40cmほど。そこをネオンナイトを立てながら水面直下をデッドスローで引く。

またコツッと来て35cm。

35cmを3本取ったとこで、たかが100cm強では・・・とつい思ってしまうが、トーナメントは自分との闘いである。

自分を楽にさせていく闘いをマネジメントしなくてはダメだ。

 

リリースして次を狙う。

ゴロタ場を先に進むに従い、風当たりが良くなる。

水面の荒れ具合がいいなと思っているところでバタバタッと立て続けにヒットし、うち1本を取って2本目。

似たようなサイズではあるが、サイズアップは揃えてから考える。

ところが、途中から沖の潮の度合いが強くなってきたか、メバルの猛攻が始まった。

10cmのメバルがバイトしてくるので悪戦苦闘。

思い切ってサイズアップを図る。

 

にょろにょろの11cm(長いやつ)をセットする。

沈むのが早いので少し沖目にキャストして引く。

5分ほどやっただろうか、カウントダウンをしっかり取ってリトリーブを開始したところ引ったくっていくバイト。

ネオンナイトのティップがそのまま入ってファイト開始。

ゴロタ場なので特にラインブレイクする恐れもない。岸際まで寄せて魚のエラ洗いを使って一気にぶち抜く。

45cm。

これでリミット達成。

少しいいサイズが出たことに気を良くして、サイズアップを狙う。

今の1本ではっきりと見えた。魚は下だ。

 

川の水がかなり嫌われている。

塩分濃度の薄い雨水は表層を支配していたようだ。

川は河口までは相当厳しい状態と判断。

川につながる運河も底物が浮いていた様子から、水面からボトムまで全てが川の水となっていると判断できる。

となると、沖合を意識した深場につながるシャローもしくはストラクチャー。

そこに川の魚が川への突入のタイミングを伺う、または運河などから流されてくる弱った魚を待っている。

そんなイメージを浮かべる。

 

そこでにょろにょろビッグを(何でも略す悪いクセで以下、ニョロビと呼ぶ)

沖目にフルキャストし、カウントダウン。水深5〜7mラインまで沈めてデッドスローで引く。

このパターンでバイトは安定して出るようになった。

ボトムからの巻き始めで明らかにスズキクラスを掛けるがこれを水面エラ洗い一発でバラシ。

このままだとアピールに掛けるのでフォローでヨレヨレを使っていく事に。

これがどハマリした。

 

 

ヨレヨレも一度ボトムを取っての巻き始めでバイトが集中した。

ウェイインフィッシュとなった54cmをキャッチ。

 

 

ニョロビで誘い、ヨレヨレのフォローで食わす。

一ヶ所につき4投ほど扇状に探り、フォローでヨレヨレを同じように撃つ。

いれば食う。そんな感じの展開にここで粘ることを決意。

バイトが出るところと出ないところがはっきりしているのはボトムの地形の変化のせい。

昔は完全に把握していたのだが、今はどうなってんだったかすっかり忘れてしまった。

思い出すようにしながら、撃っていく。

 

 

30分後、大本命のゴロタの角と岸壁の切れ目。

ゴロタ場がねじれるように岸壁のボトムに食い込んでいく場所。

切れ目のエッジは水深7m程度。

フォールでバイトが出るかもしれないので、キャスト後、ラインを軽めにつまんでボトムを取る。

ボトムからのリトリーブ直後にガッツンとバイト。

 

でかい!

ここはラインブレイクの可能性がある。岸壁の下が開いているのだ。

ゴロタから沖目にガンガンとテンションを掛けて潜られないようにする。

魚は恐ろしいほどの突進力で突っ込んでいく。

これを必死でこらえて水面まで浮かす。

60はありそうだ。

慎重に寄せてハンドランディング。

よっしゃ。


写真が暗いのでそうは見えないけど完全に川の魚。カラーはBlueBlue.春はアルミ強し。

 

 

これでいい勝負になってきた。

次の一本を狙っていく。

同じように攻める。

しかし、ここでヨレヨレを根がかりでロスト。

続いて5分後、ティーザーに使っていたニョロビも根がかりでロスト。

かなり意気消沈。

 

 

ここは車まで20分は歩くのである。

車にニョロビは何本かあるのだが、今さら戻れないということで、最後の1本となったヨレヨレを慎重に使う。

ボトムを取らないようにしつつ、タイトに岸壁のエグレの際を通していく。

心なしか夜光虫が見えるので光らせないようにすることと、ヨレヨレの浮き上がる角度と、進む方向が完全に一致するように(こうすれば夜光虫はほとんど光らない)しながら、デッドスローでロッドを立てて誘っていく。

 

先の1本から30分ほど経ってただろうか。

水深5mラインでバイトの気配。

久々に見た領域であった。

バイトが明確に伝わる直前に、バイトが解るのだ。

バイト即掛けみたいな感じでフッキング。

強烈な勢いで突っ込んでいく。

一気にゴロタのねじれに入られる。まずい。

岸壁のエグレに入られてラインブレイクしてしまう。

最初の突っ込みを耐えて、向こうが首を振った瞬間にドラグを1回転締め込み、一気にリフトアップする。

水面に出る気配を察知した瞬間、ロッドをしっかり溜めてそれをいなす。

次の突っ込みの最中にドラグを緩めて、通常のテンションに戻す。

そこからはロッドを立てて弱るのを待ってランディング。

 

ぐっとつかんで、66cmをキャッチ。

これでTOTAL182cm。


これまた川魚。お腹真っ白でした。川のスズキが港湾部に避難する東京湾ならではのパターン。

 

その後、もう一度探りながらゴロタ場を戻っていく。

40センチ級を1本キャッチしたのみ。

ここで一度本部に戻る。

 

 

TSSTって何だろうって思う。

バリバリの大会なのか、それともお気楽な大会なのか。

僕は、どっちでもいいと思う。

9時間という長丁場。メリハリ付けて時合はやる。

潮止まりは本部で他の参加者と談笑する。

それでなおかつ、上位に食い込むのがカッコイイではないか、と。

いうことで1時間半ばかり潮が動くのを待つ。

談笑、そして北海道の出張準備(但し釣り道具を、であるが)

 

2時半が過ぎて再度開始。

まずはニョロビをまたひっさげて同じポイントへ向かう。

バイトがあった場所で同じように攻めるが反応がない。

風が弱くなっているせいか、生命感が消えた。

やはり下げなのか。

 

ということで、新木場奥へ移動。

毎年春に強く、明け方になるとスーパーライズが出る場所に入る。

東風で流されるバチや小魚を意識して攻めるが、新木場奥は雨が降ったとは思えないほど潮が澄んでいた。

20分ほどやってみるがまるで出る様子がないので、今度は一転して青海へと向かう。

アングラーがごそっといるのを横目に、上げ時合確実に出る場所へ入る。

ハチマルをセットして攻めるも反応無し。

魚はやはり下のレンジか。

それとも誰かがさんざん叩いたのか。

ただ、いずれにせよ難しい状況であることは間違いないだろう。

 

次はお台場へ。

こっちもすごいアングラー。これまた一番端っこで浮きブイや潮目を意識して攻めてみるが反応がない。

下げがいいのがセオリーなんだろうけど、上げの台場はボートで結構釣ったことがあるだけにその辺を思い出しながら攻めたが結局バイトの一つも出せなかった。

 

続いてまた有明へ。

沖からまともに入る上げ潮がどかんと当たる場所。

ここには魚が確実にいるだろう。

マーゲイ、ハチマルで魚出しにかかるが、これが予想外に反応しない。

しかし、夜光虫のおかげで魚の反転が何度か見えた。

やはり下か!

ヨレヨレとニョロビのパターンで攻めにいく。

潮が速くて着底が解らない。

あっという間にニョロビを2本ロスト。

結構きつい釣りである。

 

ヨレヨレでじっくりとボトムラインを探る。

岸壁から10m程続くカケアガリと沖の砂泥底のエッジを意識してヨレヨレを沈めていく。

カケアガリの中程でバイトが何度か出るが、取れない。カサゴの可能性もある。

15分ほどやっていたら明確なバイト。

 

よっしゃ。

しゃがみながらリトリーブしていたので、立ち上がる勢いでアワセを叩き込む。

魚が猛烈に突っ込む。

これはでかそう!

 

 

そう思った瞬間にラインブレイク。

ええ?なぜ?!

回収してみるとリーダーがざらざら。ゴロタのエグレか沈み根みたいなやつに潜られたのか?

よくわからないが、外れてくれることを祈って車に戻る。

 

 

次はどこに行こうかと考えたが、妙案がない。

湾奥全体的に渋い。魚が沈んでいる。予想通りスコアが崩れている可能性が高い。

神奈川や千葉方面はわからないが、今日の湾奥で180行けば十分だろう。

そう思って5:00に本部に戻る。

最初のウェイインだった。

 

 

 

そんでやがて結果発表。

なんと優勝。

やはりスコアは崩れていた。

他のエリアは数釣りの展開になってしまったようだ。

川のスズキを意識した狙いがうまく出たことが勝因か。

 

 

 

しかし、短時間の時合だった。

ワンチャンスをモノにできてつくづく良かったと思いながら家路に。

久々の釣りを最高に楽しめたし、参加者の中で話してみたかった人にも会えたし、

多くのメンバーと色々と話し込めたし良い一日。

 



 


©Copyright 1997-2006 Tokyo-Seabass-Net.All Rights Reserved.