村岡昌憲の大会参戦記。

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2009年3月28日 -T.S.S.T 第1戦-

 

仕合わせを紡ぎ出す先にあるもの

 

 

2009年のT.S.S.Tはなんと70人以上の参加者を集めての第1戦。

 

 

参加する前に思ったこと。

「いったいもう何年やってんだろう?」

 

 

この大会を最初に始めたのは自分だった。

まだまったく無名の頃。目的はただ一つ、出逢いだった。

本当に多くの人にめぐり逢えた。

その時のメンバーが今もTSSTを運営してくれている。

大切な仲間の多くがTSSTを支え、TSSTを育て、TSSTに集う。

TSSTは多くの出逢いを生み出し、多くの仕合わせを紡ぎ出してきた。

それを思うとき、僕の心はとても誇り高い気持ちになる。

人と人の出逢い以上に、世の中に貴重なものがあるだろうか。

 

 

ところが、数年前から参加人数は多いものの、なんか違和感。

開会式と閉会式に顔を出すだけ。

ほとんど言葉を発さず、声も聞かず、笑顔も見せず、顔の見えない参加者。

 

 

絶対に違うぞ

 

 

TSSTは釣りの大会である。

だから釣りの腕を競うため、魚を釣るために出ることに何の間違いもない。

だけど、それだけだったら、それは間違いなのだ。

 

 

長い人生で人は本当に多くの人に出会っていく。

自分の価値を認め、より高め合えていく人に出会い、人はどんどんと幸せになる。

その幸せを作る仕合わせの機能がTSSTなのだ。

 

なぜ、運営メンバーがTSSTを続けているのか考えたことがあるだろうか?

何年間も、一円ももらわず、年に何度も人のために土曜の夜を過ごすのか。

いったい何のためにやっているのか。

 

 

答えは、出逢いを作るためである。

 

 

 

自分が出会うかどうかではない、人と人の出会いを紡ぎ出す。

 

 

仕合わせる。

 

 

これが、人間として、魂がもっとも大きくなること。

 

 

それを理解しているから、彼らは何年も出会いを生み続ける。

 

その場の損得とかではない。

 

だからとっても幸せそうに見えるだろ?

 

 

 

 

 

大きくなる人間とずっとそのままの人間。

仕合わせを作る人間が一番大きな人間になる。

その次に仕合わせを大切にする人間。

そして、それができない人間。

 

 

俺はもっともっと大きな人間になりたい。

 

 

だから本当は今も代表をやっていたい。

だけど、俺は釣りのプロになって、しかも多くの人に名前を知られるようになってしまった。

今後のTSSTの可能性を思うとき、俺の大会になってはダメだと考えている。

だから、運営メンバーから身を引いている。

一人の参加者としてしか、参加することができない。

 

だから、だからくやしいんである。

 

 

 

今回、参加者の一人が折りたたみ自転車をジャンケン大会の賞品に寄付してくれた。

 

彼は自転車屋さんだから仕入価格で買えるけど、そういう金額の問題じゃない。

 

目の前にいる人たちのために、自分にできることをする。

 

そういう人間が大きくなっていくんだ。

 

 

上からで申し訳ないけど、なんか書かずにいられなかった。

一つの意見として、ね。

 

 

 

 

 

 

 

プラクティスはほとんどできなかった。

不況まっただ中の、年度末。

会社の業績を両肩に背負うと、なかなか今日は釣りという選択肢が選べない今の自分。

 

 

水曜日にボートで湾奥各地を回っただけ。

隅田川好調、荒川不調、旧江戸不調、港湾部不調。

荒川の上や、千葉や神奈川はまるでわからない。

 

 

そんな中、結局当日。前の日まで毎日お酒が入っていて体調も疲れ気味。

参加者が多いと聞いていたので、一級ポイントは全て捨てることにした。

二級ポイントのランガンで何とかまとめていこうと思っていた。

 

 

 

 

夕方からフックを新品にしたり、ボロボロのスーサンを新しいのに変える。

が、ロッドはこの間テストしたネオンナイトV4のテスト品がそのまま。

準備不足は自分自身が悪いんだが、今回は本当に全てのツキがまるで無かった。

 

 

まず、開会式を終えて、出発しようとすると、車のバッテリーが上がっている。

しかし、そこは宮さんがバッテリーケーブルを持っていて、10分ほどで復旧。

20分間はしっかりと走り回った方がいいというので、荒川の上を2往復する。

 

最初に選んだのは旧江戸川の立ち込みポイント。

近くに車を止める場所が無いのと降りるのに少し小道具がいるので人はいない。

折りたたみ自転車を出して10分ほど。竿と小道具を片手に走る。

ポイントに付いて降りる準備をすると、小道具のうちの一つがない。

途中で落としたか車に忘れたか。

 

仕方なく、ロッドとライフベストなどを一度草やぶの中に隠して、自転車で探しながら戻ると、結局車の中。

 

こういうダメ展開の時って、なかなか本調子に戻せないんだよなぁ。

なんて考えつつ、気を取り直してポイントに戻る。

降りる準備をしてから、降りる前に上からスーサンを投げて手前のブレイクに魚が付いてないか一応チェックする。

 

すると、2投目にヒット。

が、残念セイゴだと思って抜き上げてから計測すると42センチ。

おお!なんかツキが戻ってきたと喜んで、デジカメで写真を撮ろうとすると

 

なんとバッテリー切れ。

 

 

 

ガックシ!

 

 

 

 

 

あ、でも、携帯がある!

 

 

 

 

 

車だし・・・。

 

 

 

 

 

ということで涙のリリース。

 

 

バーブレスにもなってなかったので、どうせダメな魚だ。

 

 

釣りを続けても意味無いので、降りることなくその場を撤収。

 

 

その後、怒りのアフガンのごとく車を飛ばしておうちへ戻る。

 

他のデジカメを調べるが全て電池切れ。

 

充電器を持ち出して、車の100Vで充電しながら海にまた走る。

 

取説に60分で満充電と書いてあったので最低30分あればいいということで、また湾岸道路を東へ西へ。

途中、俺はアホかと気付いて、エンジン掛けたまま釣り具を一度全て点検。再セットアップする。

 

時間はすでに1時過ぎ。

 

今日は負けパターンだなと、一度気持ちを切り替える。

 

こういう時は取り返そうという気持ちが一番ダメである。

 

一度負けを覚悟した方がいい。

 

その上で、せめて一矢報いるにはどうするか。

 

時間的に潮止まりの時間。

 

湾岸道路を何度も走ったおかげで、最初はほとんど無かった風が徐々に強くなってきたことに気付いてた。

 

風向きは北東風。

 

となると、一つある。

 

一級ポイントだが、下げ止まってみんな引き上げただろう。

 

干潟の上を走り抜けた風が作る流れ。

 

それが一気に集まって払い出す場所。

 

上げ潮が効くまでが勝負。

 

車を止めて足早に向かう。

 

 

釣り場について、絶好!!と叫んだ。

 

思った以上にいい風が吹いていて、干潟の流れをほとんど集めた状態で、足場のファーストチャンネルに一番速い流れ。

 

上げ潮が少し効きだしていて、逆波が立ってチャンネルの位置も一目に解る状態。

 

上げ潮が強くなると、魚もその流れの何かに付いてしまう。

 

が、今、この瞬間だけはこの風の流れが一番強い。

 

干潟中の魚が集まってくるのだ。

 

 

スーサンをセットし、大きなU字を書きながら引いてくる。

 

2投目、チャンネルのど真ん中でヒット!

 

53センチ。

 

 

 

 

 

スーサンとAXAのローテーション。

どっちもロッドを立ててのデッドスロー。

 

 

 

10分ほどしてヒット。

64センチ。

 

 

 

 

流れの速いラインが接岸しているのは500mほど。

その50mほどしか攻めてないがすでに2本。

 

過去の経験上、このまま上げが効くまでやっても、60センチ級3本は固いだろうし、70か80が1本混じる確率も高い。

 

これは優勝かもよー。

 

と上機嫌につぶやいて、じっくりと攻めていく。

 

 

 

ほどなく、55センチ。

 

 

 

とりあえずこれでリミットメイク完了。

 

 

先ほどの旧江戸の悪夢を帳消しにできた。

 

 

 

さあ、これから。

 

 

 

 

 

 

ところが、魚の反応が全くなくなった。

 

 

先端付近の絶好の場所でも魚が出ない。

 

いないはずないのに!

 

色々とパターンを試すが、悔しいくらいノーバイト。

 

魚がいないということはあり得ない。

 

この地形、この状況、この潮位、この潮時。

 

どれ一つ取っても、そこに魚がいるという確信。

 

必死に頑張ったが、結局ノーバイト。

 

 

やがて東の空が明るくなってきた。

 

 

64・55・53 の 172センチといったところ。

 

おそらく今日の感じだと、5〜10位だろう。

 

まあ、これでいっか。

 

 

一つ吹っ切れて、だけど勝負は最後まで諦めてはいけない。

ポイントを移動する時間ももう無いので、時間ギリギリまでレンジバイブ乱れ撃ち作戦に。

 

やがて朝日が顔を出した。

 

 

 

久々の美しさにしばしあぐらをかいて座って眺めていた。

 

 

 

そして僕は竿をしまった。

 

流れもすっかり消えて

 

 

 

帰り、歩いている最中に車の鍵がないことに気付く。

 

やばい、時間がないのに。

 

テトラで落としたか、魚を釣ったときか。

 

いずれにせよ、ポイントで落としたのであれば見つけるのに相当な時間が掛かる。

 

車周りに落ちていれば・・・

 

車も心配だ。

 

 

急いで戻ると、普通にドアにカギが刺さっていた。

 

幸い、荒らしにもあわず。

 

 

 

 

 

結果は7位。

 

 

まあ、こういう日はこれで上出来と考えるべきだろう。

 

 

 

 

 

 

家に帰ったら駐車場のカギがまた無くて、また普通に刺さってた。

 

起きたら、何もしない日と決めて寝た。

 

 

 



 


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