- Stage2 - 〜 三番瀬で堂本知事に捧げるボンゴレ 〜
土木型の公共事業のニュースを見ていていつも思うのは、ひたすらな無念さである。
諫早湾も多くの反対の声の中、水門が閉め切られてしまった。
あの無念。なんだろう、一度も行ったことが無い場所でさえも、海で楽しむ事を知っているものとしては、あの判断はどう考えても間違っていたと思うのだが。
そんな中でのこちらの出来事。
有明貯木場の埋め立て。
これまた自然環境に無関心な石原都政にとうとうはんこを押されてしまった。
ジーザス!石原、お前もか!!
僕ら、釣り人は、こんなにも大勢いて、どうして自然環境を救えないのかって、いつも思う。
挙げ句の果てに釣り場にゴミを捨てるバカばっかり。相変わらずな使い捨て主義が抜けていない文明の低い方々がいっぱいいる。
こういう方々に自然のすばらしさ、尊さを理解してもらえる事は極めて難しい。
せめて大物を釣った時にこの大自然に感謝する真心が1ミリグラムでもあればいいのだが。
善良な釣り人だけでも集まって、一つの組織票を持てないもんだろうか、
そう、いつも考えていた。
釣りの世界での大きな団体には日釣振とかJGFAとかあるけど、旗振ってそれなりの人を集められたらどんなに素晴らしいことか。
ルアーマンだけではない、多くの釣り人が手を組めば有明だって守れたに違いない。
そんな無念さを持って、有明の埋め立てをこの一年間見てきた。
そしてもう一つ。三番瀬。
こっちは埋め立て計画が白紙撤回になった。
まさに寝耳に水だった。
朝、新聞を持って思わず声を上げたのは昨年9月のことだ。
堂本千葉県知事が議会を押し切っての白紙撤回だった。
少し、ほんの少しずつ、政治が変わっているのか。
そんな期待感の残るニュースだった。
そして春。そう、潮干狩り。
この三番瀬に生息するとてつもない量のアサリ。
もちろん天然だ。
東京湾のアサリの中でも文句なしに一番。
そこに挑んできた。
誰が行ってもボコボコ取れるもんではない。
アサリだって生物。スズキと同じように潮に生きる生物だ。
だから潮で移動し、よりよい条件の場所に固まって育つ。
適当に掘っても出てくるのは、入場料払って入る潮干狩り場だけ。
そのアサリの筋が40本はあると言われる、広大な三番瀬。
その3番筋に入った。
今日はGWでいい天気とあってすごい人手。
とは言っても写真の程度だけど。
遠くに見える船橋海浜公園の潮干狩り場は超ごった返し。
何か、忍者チックな髪型&衣裳でアサリを激掘りする、なぶらちゃん。
特製ニンジャを使って、独自の掘り方を開発した爆速Nov氏。
速攻、一時間で一カゴ。今年の三番瀬はなかなかいいみたい。
志波洲庵の番頭さんも調子いいとのことなので、間違いなさそうだ。
しかし、そんな中でも取れない人は取れない。
途中、
「今年の三番瀬はダメだねぇ、もう全然ダメ。」
と怒りながら撤収していったグループがいた。
それは逆切れです。
別に僕らが格別にってんじゃなくて、回りを見ればみんな結構取ってるんだけどなぁ。
2カゴ行ったところで撤収。これ以上は食えんし、処理しきれない。
掘った面積、おそらく3畳ぐらい。
三番瀬、それは香しき魅惑の世界。来週はアナゴ釣り。
で、何が違うってツヤが違う。香りが違う。
手で洗った時に、手にアサリの香りが残る。
それを肺いっぱいに吸い込んでみる。何ら違和感のない、純粋なアサリの匂い。
他のエリアのアサリだと、臭気判定士である僕の鼻が何らかの違和感を訴える。
微々たるもんかもしれない。
で、帰ってきたら浴槽に浄水5リットルと伯方の塩150g放り込む。
で、アサリを入れると5分でベロンベロンだ。砂吐き完了。
その中でベロ出して確実に生きているアサリだけを取り除いて調理する。
ベロが出るのをのんびり待つ、ふ〜じとくま。
日が暮れて、僕らアサリ隊が帰ってくる頃、続々と仲間が集まり出す。
その手には頼んでおいた様々な品。
今回はアサリを彩るサブ素材も頑張った。
まずはホテルエドモントのフランスパン。
エドモントと言えばフレンチのフォーグレインが有名だ。フォアグラなんか、脳味噌がフォアグラになっちまうんじゃないかってぐらい美味い。
そして、そこを裏で支えるパン工房のレベルも極めて高い。
そこの当日17時焼きを狙って別働隊を派遣。
文字通り、まだ熱いほど焼きたてのフランスパン。
ちなみに一番左のパンこそが最骨頂。
とにかく固い。
その固さはパン界のボボ・ブラジルと呼ばれるほどだ?
半端な気持ちで食おうものなら、速攻で歯を砕かれ、若くして
「お母さん、ポリデント!」
とか言わなくてはならなくなってしまう。
しかし、その固いパンがアサリの白ワイン蒸しの汁を吸った時、
そこにはフランス革命に匹敵する革命が起きる。
次に月島レストラン「サエラ」のラタトゥーユ。
これもわざわざ頼んで前日に煮込んでもらった逸品。
ちなみに僕は昔からトマトが嫌いで、あんなもんは人間の食うもんではない、と思っていたが、
一昨年にここのラタトゥーユを食べてから、ようやく火の通ったトマトを食べられるようになった。
トマト嫌い2級から3級にレベルアップしたのだ。
3年前までの僕が下の写真を見たら吐き気と殺意をたぎらせて激しく咆哮したに違いない。
しかし、今はこの照りと艶。香りに味。どれをとっても文句の付けようがない。
美味そうだ。そう思える男のいい仕事、である。
ここでヨダレが出てる人はひとまず飲んでおきましょう。
ちなみに、この間、調子こいてモスバーガーのトマト入りチーズバーガーを頼んでみたら一口で玉砕した。
トマトはソースに限る ←2級
で、料理する。メンバーそれぞれが分担してレシピを作っていく。
今日の調理は美少女Mちゃん。 着てるのは僕のシャツ。そーいう仲なのよ。
まずはクラムチャウダー。アサリの香りを活かすために敢えて生クリームを使わないでミルクだけで作り上げた。
牛乳にアサリの香りが溶けるとどうなるか?
そこに広がるファンタジーを知らずして、アサリを語ることはできない。
その次はボンゴレ。
あまりにも旨すぎて写真を撮る前に食ってしまった。
なんかあると、つまみ食いと称して美少女とお友達になろうとする某Nov氏。
それを察して間に入ってガードするなぶらちゃん。
ラタトゥーユは大活躍。
焼いたフランスパンに乗せて食うと、もう笑うしかない。
そして、三番瀬のアサリの旨みをたっぷりと溜め込んだボンゴレソースと、この超絶美味なラタトゥーユが、混ざると最高のパスタソースができあがる。
食した瞬間に天下を獲った!
このボンゴレこそ三番瀬のファンタジー。
三番瀬埋め立てを白紙撤回した堂本知事に
このボンゴレを捧げよう。
そんなこた、どうでもいいと思う人たち。
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