- Stage15 - 堂本知事に捧げるジャポネーゼ
前略 堂本知事 様。
今年も三番瀬は元気っす。
2001年、あなたが三番瀬の埋め立てを撤回してくれたおかげで、三番瀬は高速道路にならずにすんだ。
そして東京湾一のアサリと多くの魚たち、もちろんスズキの稚魚の生息場が守られたのだ。
そして三番瀬は変わらないままだけど、
三番瀬を取り巻く社会は少しずつ変わっていて、
あの頃に補償金を獲得しようとした悪徳漁師はその後の不本意な撤退を予後無くされ、
善良な漁師たちが活躍しやすい場となった。
まだまだアコギな野郎が環境や自然保護を訴えて金儲けを企んでるけど、
僕らは全力でそいつらを排除するために闘っていく。
そしてずっと変わらない三番瀬。
今では様々な再生の試みがなされており、
僕たち釣り人にとってもますます欠かせないフィールドとなっていきそう。
都民なんで票は無いが、これからもよろしく。
台風6号の接近に伴い、南の強風が吹き荒れた6月20日。
南に海を開けた東京湾は朝から超大荒れ。
マリーナスタッフの
必死の制止をふりほどき(おおげさ)
そう、
三番瀬へ潮干狩りに。
大荒れのディズニー沖。全員ずぶぬれ。
潮位12cmまで引くはずだった三番瀬も、今日の南の強風では引くに引けず、
全く瀬が出ない状態。おそらく潮位50cm。(わかんない人はTideStyle参照)
しかし、だてに普段から釣りバカと嫁さんに罵られている訳ではない。
そんなこたぁ確実に予想していたから、全員ウェーダー着用。
果敢にボートから飛び降りてアサリの待つ筋へと波と風の中を突き進む。
しかし、今回は本当に苦労した潮干狩り。
普段ならボートが何十とひしめき合う三番瀬も、今日は三艇だけ。
そりゃ冷静に見れば誰だって行く判断はしないだろう。
しかし、僕たちには使命があるから行くのだ。
そんな戦場と言っても過言ではない過酷な状況の中で、
僕たちは結局ウェーダーの中まで、ずぶぬれになりながらアサリを掘り続けた。
とか言いつつも、1時間半で一カゴ。環境保護のため船長ストップです。
小さいアサリは再放流。食べるだけでいいんである。
船の上で砂吐きとベロ出しは完璧に処理。
潮が上げるのを待って、家へと帰る。
今年、捧げるのはジャポネーゼ。
アサリを掘ってもいわゆるボンゴレと味噌汁だけとか、
せいぜいのおつまみしか作れないんでは三番瀬を楽しんでるとはちと言えない。
もちろん誰に頼まれている訳ではない。
三番瀬の素晴らしさと、あるようで意外と少ないアサリの料理レシピを少しでも多くの人に知ってもらい、
みんながアサリが好きになることで、干潟の重要さや自然について考えて欲しいのだ。
そして僕らの願う大きなシーバスが育つ環境ができれば言うことなしなのだ。
アサリは水でよーく洗ってぬめりを取っておく。
ザルにあげて水を切ったら、まずはアサリの酒蒸しを作る要領でベースのソースを作る。
アサリと酒を入れる前に、鍋はカラッカラに焼き上げること。
家庭用コンロの場合、ここでアサリの味の閉じこめ具合が変わる。
鍋が焼けてきたら、ザルのアサリをすかさず投入し、
そこに日本酒をドバドバと流し込む。
日本酒は何でもいい。
蒸気がぐふぁ〜っと出るので、すかさずフタをして蒸気を逃がさないように。
フタを開けたくなっても開けない。
家庭用コンロなら4分。4分は開けずに一気に蒸し上げる。
酒の蒸気でアサリを蒸し上げたら、速攻でザルにあげて熱を奪う。
あまり火を通すとアサリは硬くなるからだ。
ここで一粒食べると、たいていのやつは解読不明な美辞麗句を叫びながら目の前のビールか氷結果汁を喉に流し込む。
あと、アサリが出したスープは捨てないこと。
砂が入らないようにうわずみだけを別の容器に取っておく。
続いて鍋に水を張り、昆布を入れて一気に煮立てる。
沸騰したら弱火にして2分ほどで昆布を出す。
そこに先ほどの酒蒸しの残り汁を足して、醤油を数滴垂らす。
で、塩加減を見て味を決める。
舌の上にファンタジーが広がる感じになってきたら、そこに最上級のオリーブオイルを回し掛けておく。
このパスタは細麺が合う。
細麺とは言っても僕らが選んだのは7分茹でるもの。
素人がパスタを作る場合、茹で時間が長いものほど上手にできる。
最近の切れ目が入った数分で茹で上がるパスタはモタモタしているうちにのびる。
その7分を待つ間に、スープを沸騰寸前まで温めておく。
麺が茹で上がる1分前になったら、ソースの中にアサリをどかっと放り込み、一気に熱す。
そこに茹で上がって速攻で水を切ったパスタを入れて絡め上げる。
ソースがなじんだら、深めの器に入れて、焼きノリをおもむろに破り散らす。
もちろん、江戸前の浅草のり。
今年はこのボンゴレジャポネーゼを
堂本知事に捧げよう。
みなさんもお試しあれ。
そうだ、草々。
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