村岡昌憲の釣行記。東京湾のシーバスからその他節操無く色々と。

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Area2 - Stage9 〜 トーキョーリバー2002ラストバトル 〜

 

 

僕の中ではこの潮周りに全てを賭けてみるつもりだった。

ホントにまじめにメーターオーバーを狙いに行ったのだ。

この日はT.S.S.T.の開催日。締め切り直前まで参加するかどうか悩んだが、開会式に出ると時合いに間に合わない恐れがあった。大会にも出たかったが、自分の中ではこの1週間が最もメーターに近いと読んでいた。そんなわけで欠場を決断する。

19時には荒川のシャロー帯に入る。

まだ潮が遅い。ポイントには入ったものの、シャローに点在する根には撃たずに岸際へとキャストを続ける。

こちらは時々、40p程度しかなさそうなサイズのバイトがあったのみ。

15分ほど経つと、いよいよ下げ潮が流れを強めだした。

その中で、ハンマー、ドカポップ、レア、阿修羅といった面々を次々と投入していく。

しかし、超弩級の反応は無し。

50p程度のサイズの魚影がすごく濃く、手に負えない状態になりつつある。

サッパもイナっ子も落ちたのか、いよいよハゼパターンになっているようだった。

結局、深夜2時にロッドを止めた。50p級を3本程度。

 

 

日時  11月4日
ターゲット シーバス
ポイント 旧江戸川

この日は一転変わって旧江戸川に入る。

超お得意の下げパターン。9月以来のエリアなので19時頃に早めに行ったらもう先行者が。

仕方ないので、少し下流側で始める。

北風がいい感じで水面を押していたので、非常に期待したがバイトもほとんど無いまま終了。

旧江戸川はベイトの気配もかなり薄く、フッコサイズもいないようだった。かなり厳しいと判断。

この1週間は体力との闘いになる。1時に上がって早めに就寝した。

 

 

日時  11月5日
ターゲット シーバス
ポイント 三番瀬・旧江戸川

この日から月曜日、仕事が始まる。

本当はこの潮周りは釣りだけに集中したいと願い、なるべく予定を入れないようにしていたが、さすがにこの年になるとそうもいかない。

先週の週末に次々と避けられない予定を入れる羽目になってしまった。

朝から打ち合わせを2件やって昼休み、マックを5分で食い込み、50分程度の仮眠を取る。

午後も次から次ぎへとやってくるお客さんの対応や問い合わせに追われ、かなり疲れた状態で仕事を終えた。

20時に会社で着替えて釣り場へと急ぐ。体がすでに重く感じていた。年のせいか、なんというか。

もう少し魚が見えていたら少しも疲労を感じないだろう程度のはず、魚が見えないことが体を重くする。

この日は三番瀬に狙いを定めてみることにした。

江戸川放水路の影響を受けるシャロー周りを重点的に狙ってみることに。

この日の潮位だと干潮時には江戸川河口が干上がってしまう。

と、なれば必ず降りてくるはずの河口域のスズキたちを待ちかまえるという作戦。

浚渫によって強引なまでに歪んだブレイクラインが作り出す、複雑な流れのエッジでいなっ子が時折水面を跳ねる。

時合いは干潮2時間前、9時頃と読んだ。

車を止めて時計を見るとすでに9時。急いでポイントへと入っていく。ポイントへ到着するまでに30分程度。

ここで携帯で東レの担当者と打ち合わせ。シーバスPEエフゼロの開発最終段階の話を全部まとめる。

 

ポイントについてキャスト開始。

水面を流れる風のせいで見た目には流れがあったが、もうほとんど止まりかけている。

潮が引くのが予想より早すぎた。すでに遠くなりかけている流芯めがけてフルキャストする。

アピア風神号トーキョーリバースペシャルにシーバスPE1号、そしてレアという超ぶっ飛びセッティング。

多少、向かい風気味の中でも着水点が解らないぐらい遠くへ飛んでいく。

そこから水面直下を流れに乗せながら大きなU字を書く。

3分ほどキャストした時に、もわっとした重さが。

しばらくそのままリトリーブを続け、ぐぐっと重くなったところでアワセを叩き込む。

水面でバフッと出たサイズは一見するとたいしたこと無いサイズ。

それでも前日からかなりの時間魚に見放されているので慎重にファイトする。

岸際まで歩いていってランディング。


ちょうど60pぐらい。体高がすごく高くて力強いサイズだった。

 

リリースしてからまたキャストを始める。

30分ほどして流れが止まってしまった。しばらくキャストを続けるも気配も無くなったのでポイントを変えることに。

せっかく歩いてきたのにまた戻るのも面倒だけど、ここの上げっぱなはいまいち苦手である。

また、東レに電話してPFD関連の話を一気にまとめ上げる。

開発着手から2年、いまだに納得がいくものができないPFDに半ばいらだちすら感じるが、レイジングウォーターをたった一人で請け負った以上、どっかで手を抜いた様なもの出したくないと思う。価格は一番高く立っていいと思ってる。最高の釣り道具を作りたいのだ。

 

 

ちょうど干潮時刻。かなり疲れが溜まっていて体が重い。

お得意なのは旧江戸川の上げっぱなか、荒川の上げ潮。どっちも狙うというのは時間的にも体力的にもきつい。

干潮時刻が23時過ぎ。

干潮になっても湾奥の川は1時間半は下流に向かって流れ続ける。だけど、ひたひたと潮が満ち始めるというその時間帯が僕の中での上げっぱなだ。

秋の大型狙いで非常に実績がある上げっぱなを取るべきか、仮眠を取るか悩んだけど、仮眠を取ることにした。

昨日の旧江戸川の生命感の無さがやっぱり気になった。

1時間ほど寝て、車を都心へと走らせる。

2時頃に荒川へと入る。

上げ潮が流芯を遡り出すと、川の流れはそれでも下に流れようと浅いシャロー帯を流れる。この時にブレイクライン上で激しく潮が混じり合い、ベイトの活性が著しく上がる。

ポイントへと入る。

ウェーダーに身を通す。使うたびに内側から乾かすので、外側は一度も干されることなく、3日間ほど濡れたままだ。

土手からポイントを見下ろすとブレイクラインの様子はまさに時合いの最中。

足早に立ち込んでいく。

40pもなさそうなサイズのライズがしきりに見られる。

このサイズはこの時期はどうでもいいのだけど、ライズの動きでベイトの動きが読める。貴重な情報だ。

阿修羅を水面直下で泳がせ続ける。たまに小さいサイズがこづくものの乗らない。これもウッドの浮力のおかげ。

そうこうしているうちに、パッシュ!と水面が鳴る。

少しテンションをゆるめて、ティップが水面に入り込んだところでアワセをスイープに入れる。

ギュン!と走るサイズに一瞬でかいかと思ったが、ファイト中に60p程度だと解ってしまう。

それでも慎重にランディング。


ううん。いいの。

 

ってよくない。超弩級を完全に見失っている。

これでその後はパッタリという展開になりそうな予感をビシビシ感じながらゲーム再開。

そして、予感は見事に的中した。

 

討ち死に。

 

午前4時、もう疲れで頭も上がらないような中、車へと戻った。

11月、新月の大潮3日間。結果から言えば完敗だ。

しかし、まだ潮は動く。

土手の上から川面を振り返った。

世界の大都会を流れる大河川。その川の中で頂点に立つ超弩級スズキ。

獲れるものなら獲りたい。

 

上を見上げたら星がたくさん輝いていた。

なんとなく神々しいものを感じて一礼して家へと向かった。

 

 

 

日時  11月6日
ターゲット シーバス
ポイント 旧江戸川

 

たった1時間半の睡眠。

翌朝、6時半に起床。心臓バクバク。リゲインを2発ぶち込み、背広を着て、東京駅からやまびこに飛び乗る。

やまびこの中では郡山まで熟睡。

そこから3時間に渡る設計打ち合わせを行う。昼飯を食べた後、仙台へ。

仙台では現場の視察。肉牛が1投まるごと腐った臭気ってどんなものか想像つく?

壮絶なにおいを体に染みつかせて、現場調査を終える。

 

 

帰りの新幹線もまた仮眠。今は少しでも睡眠時間が欲しい。

終点までだから安心して超熟睡。

と思ったら、どこからともなくハエが集まってくる。

ホームにいる時に何匹かいたから一緒に乗ってしまったらしい。

たまに耳元を飛ぶもんだからほとんど寝付けずに東京へ。周りの席のみなさんごめんなさいでした。

会社に帰って消臭剤を振りかけたらすぐに消えた。我ながらいい商品だ。

そうそう、東急ハンズでハンズセレクト消臭剤として売っているので見かけたら買って頂戴ね。

ウェーダーの中でもグローブでも抜群の消臭力。

で、営業はさておき、20時に退社。

 

 

もうはっきり言って何にも見えない。

自分の中では湾奥は完全に終わったな、なんて思って会社でGETBOOK見たらすげぇ釣れてるじゃんよ。

なにげに自分のHPでヘコまされるとは思わなかった。

 

 

数年前の自分なら、17時には退社して最高の時合いに最高のコンディションで挑むことができただろう。

しかし、今はそれができない。社会人として最低限やるべき事を精一杯の努力でやって、残る時間を少しでも多く作り出す。

それはもはや24時間ぶっ通しの努力だ。

情熱が真っ赤に燃えさかっていなくてはできないのだ。

嫁さんにはしっかりと説明して理解してもらった。後は結果が欲しい。それだけ。

 

 

21時半に旧江戸川に入った。立ち込む前にリゲインを2本決め込む。

時合いはすでに下げ7分程度、お得意の下げ3分は過ぎてしまったが、上げっぱなが残っている。

キャストを開始。ドカポップを中心に一軍ルアーを投げ続ける。

この秋のArea、得意のハンマーを封印し、ドカポップやレア、阿修羅といった新人を相次いで採用し、2002年秋シーズンを戦い抜いてきた。

釣果はAreaに書いた通りだ。書かなかった80UPも3本あったが(ボートだったんで)、概ねよく闘ってくれたと思う。

 

ローテーションがなんとなく、そんな秋の別れを惜しむ様な雰囲気になってしまっていた。

そんなプラグに魚が食いつくはずもないのか。

この晩は本当に風がなかった。はるか沖を飛ぶ飛行機もやがていなくなって、静かな時間がずっと流れる。

今、振り返ればほとんど考えていなかったように思う。

流れの変化に対して、経験で得たプラグセレクトだけを淡々と行いながら、ひたすらキャストし続けた。

そして3時半。痛恨のノーバイトで終了。

もう、何にも見えなくなっていた。

それでも、体の中の情熱は備長炭の炭よりも熱く燃えさかっていた。

 

 

日時  11月7日
ターゲット シーバス
ポイント 三番瀬

7時に起きた。起きたというか起こされたというか。

こんなにも体が重くなるかというほどの、デッドリーな疲れ。

リゲインを2発炊き込んでも体からエネルギーが沸いてこない。

この週が始まる前に2ダース買ったリゲインをこれで全部飲み干した。

土曜日まで続けるつもりだったこの憧れマンモス超弩級狙い。

蓋を開けてみると、魚との対峙ではなく、もはや仕事と疲れとの闘いであった様にすら思う。

 

 

7時半に家を出て、横浜の上大岡駅までかっ飛ばす。

江東区から安全運転で30分。

フジテレビの某番組の撮影があるのだ。

テレビ写りはもうあきらめた。そりゃひどい顔だっただろう。

白衣を着た寝起きのボサボサ頭。冴えない研究者さながらの様子だったに違いない。

12時まで撮影を行い、次に東扇島へ。

ここの仕事を決めたいもんだ。金額も張るけど、決まればしばらくは通うことになる。スズキがいるうちに受注するといいのだが・・。

打ち合わせを終えて30分だけ寝る。これで救われた。夕方に会社に戻る。

ここから半端でない集中力で一気に仕事を終わらせる(他に回すとも言う。)

18時に終わる。速攻で千葉へと車を走らせる。

 

 

今日は三番瀬でやりきるつもりだった。

まだ潮位がかなり高い時間にポイントへと付く。

風の具合も流れの具合も非常にいい感じ。

レアをメインに水面系からハゼパターンを意識したボトム系まで様々なパターンを試してみる。

それでも反応がない。

もう何時間、魚釣っていないんだろう。

そんな思いを頭に抱えながら、キャストを続ける。

下げ潮の流れが最高潮に達する。

それでも反応がない。

 

 

いつの間にか、意識が落ちていたようだ。

思いっきりよろめいて、こけそうになった。

いかん。

少し体操をして目を覚ます。ポケットからミルキーを一粒。(最近のお気に入り)

 

何時間やっただろうか。

その後、何度か猛烈な眠気に襲われながらキャストを続けていた。

この1週間、何回やったかわからない、ベイルを返して人差し指をラインに引っかけて振りかぶる行為。

ふと、振り上げた瞬間に腕が止まった。

もういいかな・・。

 

そっと腕を下ろすと僕は釣り場を後にした。

時計を見ると午前2時。

夢を叶えることはあきらめないこと、信じ抜くこと。

でも、そんな気持ちを持っていても、このままやっていたってダメな気がした。

一度仕切直すことにした。

もう真っ白な灰になっていた。

 

 

翌日は朝から名古屋へ。この往復2時間の睡眠が大きかった。

そして夜もぐっすり、9日の昼頃まで13時間ぐらい寝ていた。

起きたら、体の中に情熱が燃えさかっているのを感じた。

 

 

今日は景気づけ。大型のみを狙うことはやめることにした。

魚が一番多い、荒川へと入る。

まずは普通に阿修羅から投げてみる。

反応がないので、ハチマルでボトムを擦ってみると小さいサイズながらもバイト。

これを獲りに行く。

結果、そこで完全なパターンにはめ込んだ。

ワンキャストワンヒットの入れ食いを3時間。30GETぐらいいったんではないだろうか。

 

クルクル村岡SPってあるでしょ。(今更ながらこのサイト初紹介ですが)

あれを明暗部でアップクロスに投げて、流れの中でラインスラッグを取るだけって感じで巻いてくる。

ブレードだけが流されながらボトム付近で回ってるイメージ。

これが決定的に強かった。

 

使用タックル
ロッド アピア 風神ゼータ72クロスインパクトプロトモデル
リール シマノ ステラ4000DH
ライン 東レ シーバスPE 1号
プラグ そりゃ、もうたくさん投げたよ。
   

 

 

 

 




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