村岡昌憲の釣行記。東京湾のシーバスからその他節操無く色々と。

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Area3 - Stage1 〜 もう一つのクロスロード 〜

2000年10月14日 葛西臨海公園

 

 

最近思うこと。

海は広い。とにかく広い。
だから釣りという趣味に終わりがない。
飽きるなんてもってのほか。
僕が気付かないことを、誰かが気付かせてくれる。
飽きてる暇なんかなかった。

 僕が初めて葛西臨海公園西なぎさに行ったのは19歳の頃だから今から8年前になる。当時の葛西の魚影はまあ今と似たようなもんだけど、何しろアングラーがほとんどいなかったので本当に良く釣れた。水路だけで十分に魚と遊べたし、一晩に2ケタは当たり前のことだった。

 特に20歳の時の秋シーズンは凄まじいまでに好調なシーズンで、僕も連日の様に通っていた。その時に気付いた要素があった。葛西のシーバスは群れで小範囲を回遊している。15〜20分という短いサイクルで魚が回って来る印象を持ったのだ。その印象は今となっては正解で、今現在の葛西でも群れが回ってくるとバタバタッと釣れて、ピタッと反応が無くなるのは本当のことである。
 それでは、その群れは川を上下に上り下りしている魚なのか、それとも葛西のなぎさをグルグル回っている魚なのか?友人と数人でその話を追求してはみたが、数人であの広いなぎさの群れを把握するのは不可能であった。

 では、ここで大会をやって、そのデータから推測できないか。と、思いついたのが22歳の時。そこで僕が代表を率いていたOWのメンバー15人ぐらいで一晩の葛西を闘ってみたのだった。その時は朝マヅメに群れに当たった僕が優勝したのだけど、なんとなく全体的に同じ時間にバタバタッと釣れるという感じだけは知ることが出来たものの、ほとんどのメンバーはど素人だけに群れがきていた時間に魚と遭遇しなかったのではないか、とどうにも気になっていた。当時、シーバスの世界にもパターンフィッシングがあるはずだと、ヒットへとつながるあらゆる要素を徹底的に追及し、パターンを外せば魚がいても喰わないときが多い。と、今では当たり前のことでも、当時はなかなか信じて貰えなかった、「魚はいても喰わないことがある。」「その魚を食わすのはトリックアクションだ。」を追求していた僕にとって、初心者のノーフィッシュをデータに入れることには非常に恐怖感があったのだ。

 ということで、葛西の検証はいったん幕を閉じた。僕は僕なりに毎年葛西に行って色々な検証をし、魚はなぎさの周囲をグルグル回る様な狭い範囲を移動しているのではなく、意外と広い範囲を回遊しているのではないかと考えていた。

 昨年に始まったT.S.S.T.では2度の葛西戦が行われた。夏に荒川側で宮さんが、秋に江戸川側でしゅうちゃんが優勝を果たし、大勢のアングラーが同じ時間に狭い範囲で釣ることでしかわかり得ない、貴重な情報をリザルトから僕なりに消化した。その中で葛西は狭い範囲で群れが動いているのではない、との結論を出していた。

 そして今年、T.S.S.T.にすごい実力を持った人達が現れた。そう、MAPSのメンバーだ。9月23日に行われた第4戦で上位を占めた彼らのすごいところは、館山というフィールドで得た経験と感性をそのままこっちに持ってきたことである。湾奥に比べればあまりにも広大で漠然としたフィールドではちょっとした変化を読んでいかなくてはシーバスのヒットにはつながらない。そんな環境で鍛えられた視野を持っていたこと。

 もう一つすごく大きなもの。それはシャローを信じる心であろう。僕自身、葛西で8年間やってきた中で、恥ずかしいことにサーフの内側は外側に比べ潮も遅いし、とにかく浅いしで見向くことすらしなかった。内側といってもせいぜいテトラや堤防からのキャストしか意識していなかったのだ。

 しかし、南風が吹いて荒れたシャローでMAPSは優勝を果たした。僕の8年間の経験の成果とも呼べる水路で何とか獲ったフッコ3尾の全長をスズキ級2尾で越されてしまった。

 これはすごく嬉しかった。だって、自分らだけでは知り得ないパターン、そして可能性を館山のMAPSは見せてくれたからだ。僕の中で葛西の釣りは完結し、実は飽きていた。必要なのは滑りづらいニーブーツだけで、後は時合と潮位でルアーをセレクトしていけば比較的確実に釣れる、という答えを出していたからだ。しかも、サーフは頑張ってやれば釣れなくはないが、外側の川筋の方がよっぽど釣れる、と。

その答えをグチャグチャに壊された僕はとにかく嬉しくなってしまったのだ。あとは僕がこの結果をどう消化して自分のものにしていけるか、なのだ。大会の素晴らしさはここにある。

 23日以降、そんなことを思いながら僕は旧江戸川のウェーディングに夢中になっていた。26日夜は77センチと70センチ。28日夜は80センチ。その他60センチ級は数え切れないほど釣りまくった。同じ頃、しゅうちゃんが葛西で連日フィーバー状態で僕は1qほどしか離れていないそのウェーディング場所で明らかに群れの連動性・そしてサイズの違いを意識していた。

 しかし、凝り固まった先入観は根強い。僕は同じ旧江戸川の葛西で大量の釣果を叩き出しても、まだなぎさのサーフの可能性を信じられなかったのだ。

 そして10月に入って第5戦が訪れた。今回のテーマはサーフ完全攻略と決め込んでいた。2日前にボートからサーフの地形を徹底的にチェック。魚探を掛けまくってみた。同時に棒で底をつつきまくってヘドロではなくかなり良質な砂泥底が多いことも確認。そう、岸際はヘドロが堆積しているが、沖の方は潮がそれなりに流れているから、綺麗な砂泥底であることが判った。そして潮の流れのある何よりの証拠、チャンネルも確認することができた。同時に一般的にブレイクと呼べる深場からのカケアガリは全く存在しない地形であることも判明した。そしてチャンネルは幅10m、深さ30〜50センチほどの緩やかなものだが、このチャンネルが作るブレイクラインが釣果に関係するのではないかと考えていた。

 当日は直前までガイドがあったので集合時間に遅れてしまい、みんなより10分遅れでスタート。僕が考えていたのは江戸川側のスーパーウェーディングだった。葛西はここんとこずっと好調だったので、荒川側は人が多いだろう、と考えていた。何よりMAPSの方々は必ずサーフの荒川寄りでスーパーウェーディングに挑戦するだろう、とも考えていた。
 そこで僕がずっと立ち込んでいた旧江戸川の好調ぶりも考えると、やはり僕もサーフのスーパーウェーディング、江戸川の水が入る江戸川寄りで6時間闘おうと決めた。
 さっそく立ち込んで20分後にはかなり良いサイズ。残念ながらエラにフックしてしまい、デッドフィッシュになってしまったが、63センチとまずまずのサイズであった。これを続けられればなかなかイイ感じが続くと思ったが、後が続かない。
 実は今、この文章を書いている僕はこの時に釣れなかった訳を知っているのだが、1週間前の僕にはその理由がさっぱり判らなかったのだ。ヒントは何回もあった。バンザイのシープやハンマーを投げて何度も何度も良型のシーバスが水面を割った。そこには確実に明確なパターンが存在していたのだ。しかし、僕はそのパターンが全く判らなかった。
 また、もう1人だけ江戸川側でスーパーウェーディングを試みていた方がいた。その人も全くのノーバイトだったのを聞いて、僕の63センチや何度かのバイトは交通事故、たまたま回遊してきた群れだった、と考えた。

 そのまま半信半疑になって、東なぎさとの水路で3位に食い込んだmasa-pさんの魚を見てからは、僕の中でサーフを信じる心は完全に無くなってしまった。やっぱりなぎさは外側の方が釣れるという以前からの考えに落ち着いてしまったのだ。

 そしてそのままウェイイン。会場に戻ってMAPSの釣果を聞いて愕然とした。悔しさは全く無い。とにかく納得がいかない。他のメンバーは「あそこまでウェーディングするとは・・・」といった意見が多かったけど、僕は同じサーフで闘っただけにひたすら納得がいかないのだ。その差はなんなのか。ルアーなのか、パターンなのか、ポイントなのか。

 翌日から僕はサーフウェーディングの鬼になった。サーフは本当に単調だ。ほとんど判断材料がないように思われる。しかし、今となっては判る。MAPSの方々とと僕&もう1人。その決定的な釣果の差には荒川側と江戸川側、というポイントのエリアとは全く関係ない視野が存在していたのだ。

 僕はこの1週間、潮が引く間に荒川の堤防の先端から江戸川の堤防まで3往復した。満潮時も可能な限りその身を海にゆだねてひたすらウェーディングを繰り返した。最初の日はわずか3本。しかし、翌日に吹いた強い北風と高気圧がヒントをくれた。そう、潮が土曜日以上に引いたのだ。そこから僕はすぐに悟った。

 僕はそのパズルを解くことに成功した。それから掛けたシーバスは今日までに100本を越える。バイトはその2倍くらい。その200本近い数のシーバスから僕はシャローゲームにおける凄まじいまでのパターンを教えてもらった。その成果はこの土日に僕のウェーディングに付き合ってくれたシースルーのメンバーやクロスロードのメンバーは十分に見てくれたと思う。

 答えは本当に簡単だった。しかし、こんな簡単なことをT.S.S.T.の参戦者でもMAPS以外誰も知らなかったのだ。そう思ったときに素直に負けたことを悔しいと思えた。そして僕の中で完結していた葛西に、まだまだ膨大な量の続編があることを教えてくれたMAPSのメンバーを素直に尊敬したい。

そしてその敗戦を僕なりに消化して吸収したことをここで報告したい。

これも大会を通じた技術の交流、もう一つのクロスロードであろう。クロスロードにするかしないかは、あくまでアングラーの気持ち次第だが。

   
海は広い。とにかく広い。
だから釣りという趣味に終わりがない。
飽きるなんてもってのほか。
僕が気付かないことを、誰かが気付かせてくれる。
飽きてる暇なんかない。

 

そして僕はこのパターンを旧江戸川や中土手のウェーディングに当てはめてみるつもりだ。
乞うご期待。



サードチャンネルで出した65センチ。
バンザイ/シープ115を丸飲みしていた。


このパターンが見えたら、ゴロタからのサーフ攻略も簡単になった。
ソルティバディ90SRはこのパターンの牽引者になった。

 


本当にゲーム性の高い魚。
数あるSWのターゲットでもシーバスに勝る魚無し。

 


全ての釣行で70upを叩き出した。
わずか1週間前の自分では絶対に出せなかった魚だ。
今は僕の魚だ。

 


同時に葛西における群れの回遊にも答えが出てしまったのだ。
やはり葛西の魚は葛西を回る。一つがつながると次々と答えが出る典型的な状況が続いた。
この日25HIT17GET 78センチを頭に70up4尾。60up7尾。

 


このパターンを今後どうやって自分のものにできるか。
そして自分の中でどう発展させていくか。

もう一つ興味がわいた。
デカイプラグにデカイ魚が出るか。
他の地方と違い、湾奥のベイトは小さい。
その中でデカイ魚が出るか。
合間を見てサラナ170MAX、ロングA20センチを投げてみた。
すぐに65センチが釣れたけど、これはデカイとは言わない。
しかし、イマイチ自分で信じ切れない。
個人的にMAPSに来てもらおうかな。

 


5日目以降はセカンドチャンネルのパターン解明に尽力した。
セカンドはトップで釣れ。その一つの例。


全ての基本は潮の流れに行き着く。今までの経験と今回のパターンがリンクするまでに時間はかからなかった。一連の釣行に一区切りをつけるべく挑んだ7日目の晩は波打ち際でのヒットすら容易に出すことができた。それは払い出しから流れる潮がキモだった。

 

 ちなみにこの一連の釣行で僕は3度もエイを踏んだ。いずれも摺り足での移動中だったために刺されることはなかったが、ウェーディングの際は十分に注意していただきたい。痛いのは自分だけではない。都立公園内のため、あまり被害が続くと、何らかの対策が取られてしまう。
 くれぐれもご注意を。

 

 

 

使用タックル
ロッド Palms SGP-86L
リール シマノ ステラ4000 DH
ライン 東レ シーバスPE 1号
プラグ ティムコ ベイスラッグ
ソルティバディ
メガバス X-80SW
   




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