Area3 - Stage13 〜 雨の中の確信 〜
2009年10月6日 河川シーバス
釣り人は釣果を求めて選択の幅を失っていく。
そして釣果を得れば得るほど自由を失っていく。
それを痛感したのが熊本遠征だった。
以前に確信していたものが、ある枠外の釣果によって揺らいでいた。
しかし、熊本で見たのは確信だった。
魚を手にしたわけではない。
が、一緒に釣りをしたアングラーの疑いのないパターンへの信頼感。
それを横で見るだけで僕はそれを吸収し、確信へと変えていったのだ。
雨が降り続いている。
雨がざっと降るとスズキは一度沈む。
が、降り続けるとスズキは淡水や水温低下にも慣れ、かなり大胆にシャローに入ってくる。
顕著なのは川筋。
東京湾の場合、人工の排水機場などもそれに当たる。
前日、お客さんを相手に久々のコテコテ接待をやった。
2人で美女を5人もはべらせ、変な会話をし、変な事を考え、変な時間に帰る。
完全に寝不足だったけど、6時に起きて小田原へ向かった。
僕のお客さんが定年退職する。
その挨拶をすませる。40年という月日を働くってどんな感じなんだろう。
40年も生きたことすらない自分には想像が付かなかった。
でもなんとなく寂しそうな感じがした。
会社を早い時間に出て、家に帰る。
以前だったらそのまま釣りに行くと言って出てくれば良いだけだった。
が、今の僕は色々と背負っている。決めていることもある。
さっと塩ラーメンを作って嫁さんと食べ、子供を風呂に入れて、それから出撃する。
出がけに亀田次男坊のボクシング試合があってつい見てしまった。
目のイカれたボウヤが調子に乗って無様をさらした1年前。
天まで持ち上げられ、地獄の底まで落とされる。
日本特有の嫌な世界を身に染みるほど浴びただろう。
が、リング上の彼は最後まで綺麗な瞳をしていた。
試合は負けはしたが、彼は自分に勝った。それでいい。
すっかり遅れて出撃。
最初に狙っていた堰下は満員御礼。雨の中ご苦労様。
次のポイントは7m程しかない川に掛かる橋の明暗部。
ポイントに降りると先行者。雨の中歩いてきたのにこんちくしょう・・・。
という気持ちを抑え、状況を聞くと冴えないとのこと。
ロッドの先にはスーサンが。スーサンでダメなら明暗はない。
その下流の方にある瀬周りに行く。
が、時間が遅い。
すでに瀬の頭は水面から顔を出していて普通なら諦める状況。
が、そこで考える。
スズキは食べることを諦めたりしない。
瀬が出たらどこに行くか。
その答えは土管の下。
降り続く雨によって安定した水量が流れ込む土管。
流れもあり、その下は少しえぐれている。
対岸からキャストするが、土管の周りは牡蠣ガラが完全に露出してしまっている。
引っかけると魚を散らすしめんどくさいな。
そう思ってリーダーを10ポンドにした。根がかったらリーダーが切れるようにしたのだ。
投げ込むのは土管の中。そこから水と一緒に落とす。
最初にスーサン。
1投目にうまく土管の中に入る。
そのまま流れと共にドボンと落ちてデッドスローで引いてくるとドンと出た。
60センチ級だったが、寄せる途中にバレてしまった。
気を取り直してキャストしたら土管下の蛎殻にガッツリ。
引っ張って切る。ルアーは後で回収する予定なのでためらわずに切っていくのだ。
うまくスナップのところで切れて、今度はコモモSFを結ぶ。
次は土管の中に入って、ジョロジョロッと水面に落ちてガボンと出る。
リリースして、次のキャストでコモモを引っかける。
これも切って次はピース100をセット。
次のキャストは決まって、ジョロジョロッと入ったところでガボンと出る。
重みが違うので慎重に寄せてランディング。
まあ60センチをちょい超えたサイズ。
その後はすっかりと干潮になってしまい、反応がなくなってしまったので終了。
このまとまった雨で、秋シーズンが始まるだろう。
スズキ釣りの人にとって、秋シーズンの数を数えることほど、残りの人生の少なさを痛感させてくれるものもないだろう。
悔いのない釣りを。
使用タックル |
ロッド |
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アピア 風神号91MLナイトホーク |
リール |
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ダイワ イグジスト3012 |
ライン |
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東レ シーバスPEパワーゲーム 1号 |
プラグ |
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邪道 スーサン
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ゴミ |
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ペットボトル |
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