村岡昌憲の釣行記。東京湾のシーバスからその他節操無く色々と。

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Area4 - Stage2 〜 望むのか、求めるのか。 〜

2002年9月26日 江戸川シーバス

 

 

希望は無いよりあった方がいい。

しかし、希望だけでは話は動かない。

手を挙げるんだ。すれば話は動き出す。

その先に絶望があるとしても。

 

 

僕は普段、ほとんど釣り雑誌を読まない。

自分の出ている記事も滅多に見ないのだけど、このAreaを書く前の4時間ほど、最近の各誌を片っ端から見ていた。

忙しいだなんだ言ってる割には、俺は結構出てんじゃん。

と批評混じりに、色々な人の記事を読みふけっていた。

 

 

ビックリしたのが新発売されたシャローランナーの多さ。今年も随分と多くのルアーが発売された。

数年前までは、新製品を必ずと言っていいほどチェックしていた頃もあったんだけど、最近はそんなルアーが出ていることすら知らない。

知るといったら、GETBOOKで見慣れない名前を何度も見た時ぐらいしかなかったのだ。

 

 

前回のAreaでビッグプラグで回遊を待つことの重要性を書いた。

超弩級を獲る理念と哲学は間違いなくそこにある。

だけど、そこでホゲるまで投げ続けられるカッコイイ精神異常者はきっと数少ないと思う。

 

僕だってそう心がけてはいても、どうしたって、1本ぐらいは釣ってから帰りたいなんて思ってしまう。

ならば少しサイズダウンして狙ってみるのもいいのだけど、超弩級が掛かる可能性があるだけに譲れない線が、ルアーの耐久性と、フックの強さ。

そんなこんなで、新製品も含めて自分のシステムに入れられそうなもんはないか、と思ったのが雑誌を読んだきっかけ。

久々読んだら、なんか面白かった。

 

 

流れの中でのスズキ釣りで、バイトが出るのは基本的に自分より下流側だ。

バイトの大部分はルアーが流れを受け出してから、ということになる。

現行で世に出ている商品もほとんどこの辺りを意識してセッティングを出したものが多い。

でもアップクロスにキャストして、Uターンするまでの間に勝負できるルアーはないかなぁ、と。

 

エスフォーなんかはアップクロスからの下りでも泳ぎ揺らめく。

ただ、流れを受けたらもうダメ。

 

なんで、欲しいルアーは以下の条件。

アップクロスにキャストして、デッドスローリトリーブに揺らめきながらUターンするまで泳ぐこと。

Uターン後も泳ぎを破綻させることなく、アクションを保つこと。

常に水面直下10センチより上にいること。

 

 

こんなルアーはないかなと雑誌をめくっていたのだ。

そもそも、こんな問題はジャーキングさえ使えば簡単な問題だ。

ビリケンを上流に投げてジャークして引いてくれば簡単にアップクロスの釣りはできるのである。

 

 

ところがこちとら、肩を壊して遠投はできないし、手首の故障もあってジャーキングもままならない。

ただ巻き強化キャンペーン中。

ロッドワークを使わずに、なんとかならないか、と。

いくつか、候補が挙がったので明日は釣具屋巡りでもして、探してみるつもり。

というか、メガバスさぁ、作るべきでしょ(笑)

小さいのはもう、神様仏様X-80SW様 で十分。

 

 

そんな訳で今日も江戸川に出撃。

満潮からの下げ始めにポイントに到着。

ちなみにメールで質問があって、いつもどれだけルアーを持っていくのですか、とあったので写真を撮ってみた。

どんな釣りをするかが解っていて、それぞれのルアーの守備範囲が少なければこんなもんだ。

 


ハンマーは15センチと14センチ。今、使い分けの試み中。

 

ルアーが多いことは恥ずかしくも下手なことにもならない。

僕の場合、

 迷う=負けパターンへの入り口

なんで、コマが多いときついし。

 

 

ポイントに着くと、流れは既に下げ気配。

潮周りは中潮だし、潮位から見ても大下げにはならないので、今日は時合が長いのではないろうか。

ポイントに静かに立ち込む。

足首の上ぐらいまで。

相変わらずおびただしいベイトがいる。

イナっ子かと思ったら、実はコノシロだった。

コノシロには大きな魚が着く。今日は何となく期待できそうだ。

 

風は北風がそよそよとぐらい。

水面に逆波は全く立っていない。

気持ちいいぐらいの静かな水面に心を癒されながらキャストをする。

 

川に立ち込むのは禅に似ている。

何かと、考えてしまう。

人間とは?自分とは?幸せとは?成功とは?

どうせ考えてしまうなら、積極的に考えようとする。

でも答えはまともに出た試しがない。

いつもいい所で魚が邪魔をするからだ(笑)

未必の故意の境地に入ると不思議と魚が出る。

 

 

最初はビリケン、次にハンマー15。

たまにベイトが驚いて逃げるぐらいでなんもなし。まだルアーの浮力が勝ちすぎる。

コモモに変えて流れの中をU字で誘い続ける。

1時間ぐらいやってただろうか。何にも反応がなかったけど、満潮から2時間ほど過ぎていよいよ下げが活発になってきた。

 

そろそろいいんじゃないかな。

なんて考えているとUターン直後のコモモにヒット。

下流に走り出したところでフックアウト。

感触からして60センチ後半のサイズ。

魚が来た。ハンマー15に変える。

かなり集中して攻めるも反応無し。

 

またコモモに変えてみる。

3投ほどしてU字の後半にまたヒット。

さっきよりと同じようなサイズ。足下まで寄せてきたところでバレてしまう。

 

ううむ。下手だ。

 

まあ、60センチ台は獲れれば嬉しいけど、その間に超弩級が回ってきたりしたら嫌なので微妙な感じ。

流れが緩すぎるのか、ハンマーに出るようなサイズはいないのか。

それともハンマーの浮力がきつすぎてこの緩い流れでいい感じになっていないのか。

 

 

レアリップレスをセット。

今年に入ってのこのルアーの登場は本当に助かった。

まさにジャーキングを封じられた僕にとっては救世主だった。

 

ワンダーやP3みたいなシンキングペンシルタイプの威力や使い方はご存じだろう。

それと同じ事が、川の中でできるようになった。

しかも、沈まないからデッドスローで大きなU字を描きながら、水面直下で揺らめきのアクションをする。

今月のソルティにこのルアーについての記事が出てたんで読んでみて。(って自分の記事だった)

前後のページに、鳥居氏のコモモの漂わせと、小沼氏のワンダーの使い方が書いてある。

コモモとワンダーの長所を両方持っているので、合わせて読めばこのルアーの使い方が見えてくると思う。

でかいワンダーだと思えばいいって事ね。

 

 

しかも、そんな微妙な揺らめき性能を持っているルアーって、だいたいフックが小さい。

ワンダーにしろ、にょろにょろとかそうでしょ。フックを大きくすると今度は泳ぎが死んでしまう。

これはもう仕方がない話。

普通はそうなるんだけど、このルアー、ノーマルで2番フック搭載というのはもはや奇跡だ。

 

 

そんな訳でキャストすること10分。

水面直下にレアを漂わせる。フラフラした泳ぎと、U字の中で何度も勝手にダートアクションをする。

自動ダート機能搭載で手首に優しい。

 

 

レアをアップクロスにキャストして、やや早巻き気味にラインスラッグを回収する。

そこからリトリーブをやめて、ロッドティップを立て気味にUターンを促した瞬間に水面が割れる。

ボシュッ!

 

ロッドがバッドからねじ曲がる。

今日のロッドはジャンキースティック70なんで、ロッドのパワーに預けたまま、ファイト開始。

ゴキゲンな掛かり方をしているのか、とにかくスピードのあるファイト。

膝下ぐらいのシャローを走り回る。

僕の周りをいきなり2周してリーダーが巻き付いてヒヤッとしたが、何とか河原にずり上げる。

美しい体高あるスズキをキャッチ。

 


すでに9月にして、このサイズを測らなくなっております。 70ぐらいだったかなぁ。

 

リリースをして、また水の中へ戻る。

満潮からもうすぐ3時間、流れはいよいよ最高流速を迎えようとしている。

風が水面から潮を押す。

レアをしばらくキャストするが、反応が無くなったのでハンマーに変える。

次にビリケンに変える。

シャローに上がりきったコノシロの群れが、ブレイクラインの上で時々水面を荒げる。

スズキサイズが来ているんだろうか。

この間感じた、ランカーの気配を未だに今日は感じていない。

そのせいか、ビリケンもむなしく泳ぎ続ける。

 

 

 

コノシロに囲まれて30分ほど。

やがて手にしたのはレアだった。

先ほどのヒットに、何か要因が?

 

流れの中に定位したスズキはもう何でも食ってくる。

だからフックも浮力も大きいルアーをキャストし、なるべく小さいサイズを乗せないように、そしてでかいフックでばらさないように。

これが超弩級を獲る理念と哲学だ。

 

ところが、そこにパターンというものが常に、何かと介入してくる。

何でも、というわけにはいかない日がしばしばある。

そんな日。そう、まさに今日はそんな日だった。

今日のスズキは捕食対象を吟味して選んだ。

 

回りくどく書くのはよそう。

本当は「今日は」ではない。正しくは「今は」なのだ。

スズキはシャローに上がり込んで捕食しているうちはルアーを見切る。

流れの中から出たスズキはルアーを見るのだ。

今はベイトがシャローの上にいるからスズキも流れのないシャローに入って捕食してくる。

だから出せない。水面直下、U字、引き波、色々やっても出せない。

ところが潮が引けば、コノシロはシャローからブレイクラインの下に降りざるをえない。

流れの中でスズキは狂う。きっと壮絶なボイルが起きるだろう。

 

「でも、今は」

この答えが欲しかった。

答えとしての突破口はおそらく2つ。

一つは流れの中でのU字前での勝負。

もう一つはペンシルタイプの揺らめきアクション。

この2つが潮位のある時のシャローを制するんではないかと思ってる。

 

 

そこで選んだのは後者。レアリップレスだった。

フルキャストして、一度は流れの本流に入れる。

着水点はやや上流側。

そこからややスローでリトリーブ。

正面あたりでブレイクラインに差し掛かるようにU字を描く。

流れのないブレイクラインに入ったら、ロッドを少し立てて流れの中の揺らめきアクションを最大限に出す。

この行程で大きなU字を描く。

1投ごとに少しずつ下流へ降りていく。角度も色々と変えてみたり。

 

 

5分ほどやってただろうか。

レアがブレイクラインに差し掛かるかどうか、の時。

 

ドッコーン!

と高さ1mはありそうな水柱が立ち上がる。

 

 

背筋が凛と凍った。

やっぱり秋はこれだよな。

 

柔らかくも鋭く、アワセを叩き込む。

魚は水中で何度か首を振った後に、上流側に走り出した。

ドラグをジリジリと粘り強く出していく。10mほどは出しただろうか。

一転して、フッとラインテンションが無くなる。

降りてくる。

魚が下流に向かって猛ダッシュをしたかに感じた。

両腕を上げ、ロッドを目一杯天に突き上げる。

やがて叩き付けるようなラインの衝撃に両腕のストロークと体で衝撃を吸収する。

そこからドラグが滑り出す。

そこからフル加速。

これは間違いなくでかい。

 

一気に20m近くラインを出して止まる。

流れのないシャローに誘導する。

数m出されては数m巻き取るという一進一退の攻防。

バレんなよ。

 

しかし、3分ほどでやっとバテてくれた。一気に勝負に持ち込む。

浅い河原に何とか誘導して勝負あり。


スズキ界のフカキョンとでも呼びたいとこです。理由は今度。

 

 


全長で85センチでした。 狙うべき点から出るべき魚に出てもらって感謝。

 

秋シーズン最初の80UP。

さすがに体力もきつかったんで、その後はもう1投もしなかった。

土手に上がって河原を振り返る。

その神々しいほどの川の流れはただただ流れていくだけだった。

 

秋シーズン。GETBOOKも他のHPも好釣果で賑わってる。

「目標は80UP。」みんな声をそろえて言う。

でも、その気持ちは本当かい?

その為に考えてやっているかい?

 

ランカーを掛けに行くのと、掛かるのを願うのでは全然違うんだ。

気持ちもそうだし、タックルが大きく変わる。

そうしている人は東京湾奥でも、普通に年間10本以上は獲ってる。

荒川でも、旧江戸でも、多摩川でも江戸川でも10本は獲れるのだ。

 

50,60を数多くヒットさせるのもすごく楽しい。

でもそれはいつでも楽しめる。

 

60センチの活性が高くて80センチの活性が低いなんてありっこない。

スズキの中で一番数が多い40〜60が元気な時、80も90も100センチもみんな活発にエサを追ってることを忘れちゃダメなんだ。

ランカーを掛けに行くのと、掛かるのを願うのでは全然違うんだ。

 

希望は無いよりあった方がいい。

しかし、希望だけでは話は動かない。

手を挙げるんだ。すれば話は動き出す。

釣りの場合の絶望はたいしたことじゃないさ。

 

 

使用タックル
ロッド ミラクルワークス ジャンキースティック70Xpi
リール シマノ ステラ4000 DH
ライン 東レ シーバスPE 1号
プラグ ミラクルワークス ドカポップ12cm・阿修羅
アロウズ レア
アイマ コモモ
   

 




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