村岡昌憲の釣行記。東京湾のシーバスからその他節操無く色々と。

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Area5 - Stage21 〜 バチの残像 〜

2007年3月7日 港湾部シーバス

 

 

 

 

 

バチパターン最強の釣りは、バチの残像を追うスズキである。

確信を持って間違いないと言える。

今、目の前にバチがいて、それを見ているスズキより、

さっきまで、数日前までバチを見て食べており、

その残像が記憶に残っているスズキが最も釣りやすい。

 

反応の早さ、バイトの深さ、迷いの無さで一番確実に仕留められる。

そして、時合を選ばないのが最も良い。

 

 

月曜日から、2日間で三重〜奈良〜岐阜〜宮津と走りに走りまくった出張。

昨日の宮津も伊根の方まで出てメバルでもやろうと企んでいたらしっかりと雪が降っていた。

あまりの寒さと、ノーマルタイヤというリスクもあって無理せずホテルで寝る。

夕方に最後の仕事があった天の橋立を出て700kmをひたすら東に走る。

0時を過ぎて料金所から出ると、高速料金が30%OFFと知り、途中時間調整しながら、0時1分に東京ICに突入。

しかし、考えることはみんな一緒でスゴイ渋滞だった。

4000円も料金が安くなったがその分疲れた。

 

 

家に着いたのが1時。

明日は午後出社と来れば、出撃しかない。

潮は上げっぱな、港湾部。

 

残像を見たスズキはどこにいるか。

それはストラクチャーの絡む明暗部である。

それこそ、港湾。まだ水温の低いこの時期は小河川にその強みが出る。

選んだポイントは隅田川水系小河川。ポイントは台船だまり。

 

 

久々に風神Zイブランを手にする。

ヤルキスティックの大小といくつかのミノー。

 

 

ヤルキスティックバチ抜けSP(以下ヤルキバチ)で水面直下を探る。

台船の際を引くときは、いきなり際を引かないことが大事。

際を引けば、1投でヒットすることが多いが、一緒にいるその他数匹は逃がしてしまうことになる。

 

まずは5m。そして3mと近づけていく。

待ちきれないヤツが飛び出してくる。

待ちきれないヤツから釣っていく。

 

 

ストラクチャーから、2m離れた水面は、スズキにとっては危険水域だ。

しかし、脳裏に残るその残像が、大きな決断を迫るのである。

そして、ヤルキスティックの波動。

水面で動くその波動にたまらずスズキが飛び出す。

 

 

 

バイト後、イブランのティップに任せ気味にして、しっかりとフックを乗せてから、

バッドパワーで強引に絞り上げる。

たまらず、スズキがエラ洗いの動作に移る。

 

グングンとテンションをかけて、ロッドを前に倒して、ラインを巻き取る

スズキが水面に出た瞬間に、一気に引き寄せる。

スズキのテイルウォークと波長を合わせると、水面を5mは引っ張ってこれる。

 

 

他の魚が付いてこないように、台船際から一気に引きはがす。

エラ洗いを抑え込んだら、この数釣りはできない。

エラ洗いの一瞬が、水面を滑らすチャンス。

群れの他の魚はエラ洗いの移動に後を着いてくることは少ないからだ。

 

まだ針にかけていない魚に余計な刺激を与えない。

その為には強靱なバッドパワーのあるロッドとPEラインが必要になる。

が、これがヘビカバスタイルなのだ。

 

 

 

リリースして、再度キャストする。

 

2m。

 

2m。

 

2m。

 

1.9m。

 

 

10センチの違いが彼らにとって何の意味があるかはわからない。

 

だけど、そこにはいつも結果という、事実がある。

 

僕はその事実に対してのみ、正直に釣りをする。

 

 

 

ハンドル1回転4秒の超デッドスローリトリーブ。

そのスピードでヤルキバチは、ゆらめきながら波動を出す。

ボートや流れの速いところに使うものではない。

止水域。まさに港湾部。そんな場所で、じっくりと誘う釣りをするためのプラグ。

 

ヤルキバチを後ろから飲み込んだフッコ。

何が残像だったのか。口の中には何も見えなかったが。

 

 

リリースして、もひとつ誘っていく。

 

 

2m。

 

 

2m。

 

 

2m。

 

 

 

 

勝負をかける。

 

0.5m。

 

 

 

 

 

知らなかったとは言わせない。見ていなかったとも思えない。

 

きっと台船の下でじっと見ていたはずだ。

 

見えなくても、存在だけは感じていたはずだ。

 

すぐにでも飛びつきたかったはずなのだ。

 

いきなり通した、台船際デッドスローにたまらず飛びついた1本。

 

 

 

3本目。

その後反応が無くなる。

帰ろうかと思ったが、その時に水面にライズが出た。

 

今は干潮回り、港湾でライズが出ることはあまり考えにくい。

足下の水面をライトで照らすが、バチは特に見えない。

1匹のトリッキーバチがクルクルと足下を回っているだけである。

 

 

トリッキーバチを追っているのか。

風裏ながらも吹き下ろす冷たい風が当たる台船の角。

そこを見つけた瞬間に、僕は足を進めていた。

 

 

ポイントが遠いので、ヤルキスティックに変える。

トリッキーバチがいたのだから、ベイトをマッチさせた方がいいかもしれない。

色はホワイトテール。この色こそ、トリッキーバチを完全に意識したカラー。

 

闇が赤色を飲み込むその暗さで、テールのパールだけが怪しく輝く。

 

風の影響を受けないよう、台船の風当たり側である左側に、アンダースローでヤルキスティックを撃ち込む。

 

風でたわむPEラインをコントロールして、ラインスラッグを台船際に落とす。

 

 

 

 

ざっと台船から2m横、そして水深1m、このレンジで通す。

 

このプラグの誘いは強烈。ライズまでしたスズキは一投で飛びついてくる。

 

 

待っていた場所で、待っていたタイミングで出るバイト。

 

 

ガッ!

 

重い衝撃と共に、イブランがバッドまで絞り込まれる。

 

でかい。

 

 

ヤツは右にある台船下に走り込む。

 

 

僕は左に数m動いてその動きに抑制をかける。

 

 

しかし、重い。

 

軽めのドラグが、軽快な音を立ててラインを吐き出す。

 

人差し指で回るスプールドラグを抑えて、ブレーキをかける。

 

ロッドを下にして、バッドパワーで耐える。

 

これ以上進めないと判断したヤツが身体の向きを変える。

 

30m先の攻防。

 

 

 

超高感度のヘビカバスタイルは楽しい。

 

思わず笑う。明るい月夜の台船際、一人で笑う。

 

 

ラインが左に走り出した瞬間を感じて、一気に巻き取る。

 

 

スズキがストラクチャーの外側に向けて走る場合、長く力強く走ることはしない。

 

自分に対する違和感がまだ消えなければすぐに次の行動に移る。

 

エラ洗いが来るか、それとも再度右に切り返すか。

 

ヤツが取った行動は、水中でのエラ洗い。

 

首を右に左に振る。

 

外れないことを祈りながら、その時間を待つ。

 

一転して、まだ台船下に強烈なトルクで進み出す。

 

ロッドを左に倒し、左に位置を変えながらテンションをかけ続ける。

 

1箇所、ロープが垂れている部分があり、そこに行かせたくない。

 

スプールを人差し指で押さえ込む時間が長い。

 

2度突っ込みを見せたが、スタミナを切らして、苦しくなったのか水面に向かった。

 

 

そこで一気にテンションをかけて、ラインを巻き取る。

台船から引きはがす。

 

足下の力弱い攻防をしのいでハンドランディングする。

 

 

 

 

 

 

その後、隣の台船で同じパターンで1本。

 

 

 

 

使用タックル
ロッド アピア 風神ゼータ 610イブラン
リール ダイワ イグジスト2508
ライン 東レ シーバスPE  F-ZERO 1号
プラグ 邪道   ヤルキスティック & ヤルキバチ

 

 

 

 

 



 

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