Area9 〜 自分で探したシイラ 〜
2000年8月7日 館山ボート
今年の関東のシイラゲームはなんだか調子が悪い。相模湾はペンペンサイズばかりでなかなか大きいサイズに巡り会えない。しかも絶対数も少ないようなのだ。これも黒潮が関東から遠く離れていることなど原因は色々と考えられるのだけど、僕らの夏は待ってくれない。
それならば大きいサイズの釣果が連日報告されている東京湾口付近のシイラを狙いに館山へと出撃した。港から20フィート、40馬力を積んだ漁船で沖へ出撃。
目指すはメーターオーバー。そしてクオリティのある1尾である。
今回の仲間はGOROさんに、藤嶋さん。
いずれもシイラはほとんど経験無いそうで、楽しみ楽しみで前日の夜は全く眠れなかったそうである。
で、これはアドバンスでもガイドでも何でもない。
当然、操船や浮遊物探しなど一緒に全ての事柄をやってもらう。
すると、港から20分ほど離れた沖合でかなり大規模なナブラを発見。
カーペンター、シーメタルフロッグをナブラに投げ込んでハイスピードでリトリーブする。
ゴゴンとメタルフロッグが消し込む。向こうアワセで乗せてからフッキング。小気味よい引きはワカシだ。ナブラは船ですぐに沈んでしまったが、3回ほど出現したナブラを追っかけて3尾釣る。が、このサイズはあまり美味くもないので程々にして切り上げる。
更に行くとやがて僕自身が最も大好きな根に着いた。
通称、「すごい根」である。
もちろん地元にはきちんとした名前があるのだろうけど、僕自身が自分でたまたま見つけた根なので正式な名前は知らない。でも外すことを知らない、過去何度もイイ思いをさせてもらっている根である。
遠目から見るだけで水面がうわずっているので何かがイワシを追っていると判断。
さっそくメタルフロッグをキャスト、中層をジャーク&ジャークで探っていると凄まじい数の魚が沸いてきた。
小型のカンパチのようだ。そこでメタルXにチェンジ。キャストして沈めてからジャカジャカ巻きでリトリーブしてくるとヒット。
そろそろ刺身でも美味しいサイズ。
これは高級ネタの乱獲パターンということで爆釣開始。メタルX、シコジグラ、ギャロップ、バンジーメタルM、ブランカのローテでスレさせないようにしながら次々と掛けていく。特にメタルXとギャロップの反応の良さは凄まじいものがあった。1キャスト1ヒットに近い状態であっという間に船のイケスをいっぱいにしてしまった。
しばらく爆釣を楽しんでいると突然、メーター近いシイラがヒットしたカンパチに襲いかかってきた。
船の違和感に気付いたのか、躊躇して遠巻きに回遊している。船のエンジンを速攻で止めて流木となる。
一瞬、何を投げようかと迷ったが、シイラもとどまる感じではなかった。ルアーにカンパチが引っかかったままカンパチごとキャスト。
さすがに重い。途中でカンパチが外れて右の方に飛んでいく。(悪い、許せ。)
そのまま的はずれな場所に着水したギャロップでスローフォール&アクセレーションジャークを開始。
3日前に相模湾でシイラ船に乗ったとき、ペンペンばかりだが大爆釣によって、このアクションが効きまくる事を確信持っていただけにとっさにうまい具合にルアーが踊った。その瞬間、シイラが加速、ルアーに食いついた。
その瞬間にアワセを叩き込む、このチャンスをずっと待っていたのだ。
しかし、手首に激痛が走った。まだテーピングで固めているだけで全く完治していない右手首の故障が嫌な感覚を思い出させる。(まだトーナメントのことを引きずっているのだ。詳細は今週のルアニューを見てね。)
そしてその瞬間の衝撃で我に返った。なんと僕はカンパチを楽しもうとサーフスターの6フィート、ウルトラライトのロッドだったのだ。一気にバッドまで絞り込まれて何もできないままラインを50m近く出される。そしてそのままラインブレイク。根の際にでも触れたのか。取れるはずのないタックルでつい掛けてしまったことに後悔。
だが、シイラが居ることはわかった。カンパチも十分にあるし。そこでシイラ探しの旅に出る。
ただひたすら沖へ。
そしてついに漂流物を発見。
そこでロングディスタンスでキャストしたトビペンをアクションさせていると水面が豪快に割れた。
右手首に感じる強烈な痛み(実に懲りないな)が最高速でのひったくり系バイトであることを感じさせる。
この場合向こうアワセだ。ロッドをそのまま固持してアワセが入ってドラグが加速しながら滑り出すまで待ってやる。ドラグの音が一定になったらそこでアワセ。
今度のロッドはコーラルスター8ポンド。これもシイラのベテランからみればライトな方と言われるが、いつもロクテンでやっている僕にとってこのタックルなら確実に取れる自信がある。きつめのドラグで走らせないで強引にグイグイ寄せる。右に左にロッドを振ってシイラに主導権を渡さない。ほとんどラフファイトだ。
あっという間に船の横まで寄ってきた。そしてシイラが危険を感じたときが第2ラウンド開始である。
ロッドをバッドからぶち曲げてシイラが走り出す。ステラが悲鳴を上げる。
寄せては一気にラインを出されのファイト。しかし、メーターでも4キロのドラグを何回も引きずり出すほどタフではない。3回走った時点で向こうの色が変わる。黄金に輝きだした。
その瞬間に一気に勝負を掛けて一気にランディングまで持ち込む。
105センチ。ファイトは完璧だった。
自分たちで海に出て、自分たちで魚を見つけて、思い思いの方法で仕留める。
シイラブームが始まってはや5年。誰もが簡単にメータークラスとの豪快なファイトを楽しめるこのシイラゲームは人気が高まる一方だ。
一方で、そんな普通のシイラゲームに飽きた連中が最初の魚探しからやるゲームを開拓し始めている。
もちろん僕だけでない。多くのシイラ上級者達が様々な楽しみ方を編み出しているのだ。
誰もができるものではない。当然、命を失う危険がつきまとう。しかし、無謀ではない。知識と技術と経験を積んで大丈夫と確信できる範囲で遊んでいるだけなのだ。
僕でもこんな小さな船で沖に出ようと思うのは一年でも夏の海だけだ。そしてせいぜい出ても1キロほど。乗合船の行動範囲に比べるとあまりにも小さく狭い。
しかし、そんな海域でもシイラは泳いでいる。そしてそのシイラを釣り上げた時の満足感は何よりも勝るのだ。
使用タックル |
ロッド |
Palms SGP-86L |
リール |
シマノ ステラ4000 DH |
ライン |
東レ シーバスPE 1号 |
プラグ |
ティムコ ベイスラッグ
ソルティバディ
メガバス X-80SW |
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