Area9 - Stage9 〜 館山、最後の日 〜
2001年9月15日 館山→湾奥
館山のボートフィッシングもこれが最後。そう、今日が撤収日だ。7月18日にはるばる4時間かけて湾奥から走ってきた我がボートもそろそろ地元のシーバスが恋しかろう。
2ヶ月間もの間、船を管理していただいた鯨丸、様々なアドバイスを頂いた館山のサウスエンド、そして地元のアングラーのみなさんにここで改めてお礼を言いたい。「どうもありがとうございました。」
船が来た時に比べるとすっかりと日の出が遅くなったと思う。来た時は4時頃に出船できたっけ。そんなことを思いながら薄暮の広がる4時45分に出港。
まずは定番の沖のブイを流しに行く。狙うはシイラ。しかし、館山湾内は台風の影響か全域に渡ってひどい濁りが支配していた。
やってみるが全く反応がない。大谷さんに3バイトほどあったのみ。あれほどいたシイラが姿を消した。5時半頃までやってみたが、土曜日だというのに他のプレジャーボートは一艇も来ないし、乗合船も来ない。また黒潮が湾深くまで差して最後のシイラの群れが来るにはまだ少し時間がかかりそうだ。
最後ぐらいシイラの姿を見たかったな。
そう思ってシイラロッドをたたんだ。
次に雀島周辺の根回りでカマス。
今日の参加者は大谷さん、くまんまさん、ふ〜じ。
今日は最終日だし、お土産確保の命をみんな受けているというのでコマセを使ってのサビキ釣り。コマセ使うのはこのボートで初めてのことだ。何となく敬遠していたんだけど最後ぐらいってんでコマセバケツとコマセをワンブロック買ってみた。
もちろん、僕もコマセ釣りを操船するのは初めて。ボートによるアジ釣りは魚探反応を見つけてその上にアンカーを打つのが最も難しいとされている。以前に葉山で手漕ぎボートでやった時はとにかく難しくて、数m横のおじさんがほいほいと釣れるのにこちらはスズメダイばかり。おじさんの好意で船を横に付けさせてもらえなかったら全く釣れない展開は間違いなかった。
が、館山のアジ根は水深が浅い。わずか15mしかないので2回目で完全に魚群反応の上に船を停止させることができた。コマセを振ったら完全に魚が船に付いた。
上から、イワシ、サバ、アジ、カマスというゴールデンな魚群に4人の竿はひたすらに曲がり続けた。
2時間ほどでお土産分は十分に釣ったところで終了。
最後にシーバスゲームをやってみることになった。
2ヶ月間、湾内のあちこちを走り回り、湾奥のシーバスアングラーとしての視野でポイントを探し続けていた。
その集大成。館山のシーバスに真っ向から勝負。
まずは船形港の前にあるテトラ群、水深6mほどの砂底に入っている長さ100mほどのテトラ帯。そこにハチマルを撃つ。
テトラギリギリに落として、若干沈ませてからギラッとヒラウチさせ、そこからミディアムファーストでリトリーブしてくる。半径3mほどの中にシーバスがいればヒラウチに気付いて追っかけてくるはずだ。もちろんリトリーブ途中に何度もスピードを変化させたり、停止させたりしてバイトさせるタイミングを作ってあげる。
館山のように潮が澄んでいるエリアでは追っては来るけど反転してしまう、といった事象が多いのではないだろうか。この地でそれを経験したことが無いから解らないけど湾奥だと潮が澄んでいる時ほどその傾向が強いので、その辺を配慮して若干早めのリトリーブだ。
5分ほどしてヒット。シーバスはいた!
わずか45センチほどだが、すごくうれしい。非常に綺麗なシーバスだった。
1尾いれば10尾はいる。と考えられるのがシーバスだ。
テトラ際で食わせてしまうと他の魚を散らしてしまうけど、追っかけさせて引っ張り出したところで魚を掛けてしまえば、何本だって魚を出すことができる。
同じ場所で再度もう1発。
他に2発ヒットしたところでテトラ帯からは反応が無くなった。
港の堤防周りのテトラも気になったが、今日は湾奥に帰る日だ。時間もないのでここは満足して移動することにした。
次に港に戻る途中のサーフ。サーフから沖にまっすぐ突き出たテトラ群。
サーフから伸びたテトラが段々と水面下に姿を消していく感じで入れられている。
一度、沖で船を止めて潮の流れを確認。潮の当たっている側を確認してからボートを潮上側に付ける。
ギアをバックに入れた時に、普段湾奥でやっているボートシーバスの感覚が背中を駆けめぐった。
勘を取り戻す?いやそうではない。違和感はあるものの、自分の見える視野が完全にシーバスモードになった。そんな感じの感覚だった。
魚がいるだろう場所を見据え、その潮上側にハチマルをキャスト。
トロッと流し込むような入れ方でテトラのてっぺんで水深2mほどのゾーンを通す。
そこを抜けていく瞬間にゴン!!とバイト。
やはりいた。猛烈なトルクで走るシーバス。
が、ここはボートだ。どんなに走られても安定したテンションをかけ続けてさえいればやがてシーバスもバテる。
しばらく走らせて疲れが見えたところで一気にランディングまで持ち込む。
非常に綺麗な魚体。
前にTIP−OFFで夏の黒いシーバスは日焼け?なんて話もあったけど、これ見ればそれはないって解る。
おそらく周りの色に合わせた背中になっているんだと思う。夏でも砂地にいるシーバスは白いのです。
しかし、今のパターンで掛けると仮に周りにシーバスがいたとしても、みんな散らしてしまうだろう。
案の定、それ以降の反応は無し。
そこで港に戻ることにした。
最後に館山港。港の中なら湾奥の港湾部と一緒だ。
風が当たる場所、潮が当たる場所、日射しのシェードを作り出す場所、全ての場所をビシバシと攻めていく。4人で次々とシーバスをヒットさせた。
このサイズが館山にはたくさんいた。
そしてその3要素が揃った場所。要素のCROSSROADに一番デカイ魚がいる。
「ここは出るよ。」
そうつぶやいた瞬間から1分もしないうちに、大谷さんに70センチがヒット。
まだ夏の雲が残る館山の青い空と青い海。
完全に湾奥ボートスタイルに戻ったはずの感覚と感性だけど、なにか違和感がするのは、その風景のせいと写真を撮っている時に気付いた。
この黒さ。館山でも居付きっているんだな。って思うのも間違い。黒いカラス貝に付いていたシーバスは館山でも黒いのです。
ここでのヒットパターンは完全にハチマル。パニックアクションでルアーを見切らせないように水深50センチ前後を激しく引っ張ってくる。ボートまでシーバスを追わせてしまったらアングラーの敗北だ。その前に食う決断を迫る。そう、食わせてなんぼ。その問いができるのがハチマルなのだ。
要領をつかんだ、くまんまさんもふ〜じもハチマルに変えた途端に鬼のごとく掛けまくる。
僕は5本ほど釣ったところで、一転してそのハチマルを見切った魚に焦点を絞った。
他の3人とも使うルアーが銀色系、ビカビカッとしたフラッシュは確かに最強のパターンではあるが、それを見切ったシーバスにはそのギラギラはもう通用しない。
そこで、追っかけてきたシーバスが最初に戻る場所、すなわちボートに最も近いストラクチャーにハチマルチャートレッドヘッドをキャストする。
ストラクチャーから1mの距離、水深30センチを激しいトリックアクションで誘う。
大きな銀色が次々ともんどり打つ。
2投で60センチ、64センチ、と獲ったところで気付いた。
今出た2本は最初にボートまで追っかけてきたシーバスではない。どうも最初からこの場所で待機していたようだ。
どうやらこのエリアにはシーバスが溢れるほどたくさんいて、最もいい場所から追い出されたシーバスたちがちょっとした変化のある場所にステイしているのだ。
いや、きっとそうに違いない。
そこで、一度は攻めないでやり過ごした場所に再度戻ってみる。
潮は当たっていないけどシェードがきつい。
最初はいないと思って攻めなかったが、気付いちゃった今は絶対にいると予想できる。
いるなら出てこい。
そう念じてハチマルを投げる。ストラクチャー際の角5センチにピンで入った。
これが一番デカイ魚を狙うもう一つの方法。そう、いきなり一番いい場所にルアーを放り込むのだ。
追わせる必要もない。着水して軽くジャークさせてルアーの姿勢を作る、そこで水面下にわずかに見えるチャートカラーを眺めていると、そこに銀色の魚体が覆い被さった。リールを若干巻いてロッドを少し送り込んだところで竿先に衝撃が伝わる。
タイミングを合わせてそこから背筋でややスイープにアワセを叩き込む。
反転してストラクチャーに潜ろうとするシーバスをすかさず上方からテンションを掛けて水面に向かわせる。
水面に出た瞬間にエラ洗い。既にロッドを前に倒して構えていたので、出た瞬間に両腕と背筋とリトリーブ、テンションを掛けることができる全ての力をフル動員して、更にテンションを掛ける。70センチ近い魚に水面を滑るようにエラ洗いさせる。これでストラクチャーから一気に引き離す。
この芸当がヘビカバスタイルの真骨頂だ。
根ズレの心配が無くなったところで、そこからは魚に掛けるテンションをやや弱めにしていなしながらファイト。
船際でさっとランディングしたのは文句無しのデブデブちゃん。
超ファットなシーバスだった。長さより重さに満足の1本。
ここでお昼になったので今年の館山を終わりにすることにした。
最後にまた驚かせてくれた館山の底知れぬポテンシャル。館山にもこんなにスズキがいるのか。
密度で言えば湾奥とさほど変わらないかも。そう思わせる釣果だった。
楽しませてくれたシーバスは全てリリースした。また来年、そしてこの豊かなフィールドに客人の僕らができるのは少しでもダメージを与えないことだろう。
いや、ここで館山だけがすごいって解釈するのは間違いだ。
鹿島、勝浦、鴨川、富津、木更津、八景、大津、伊東、熱海、沼津、松崎、城ヶ島、僕の中には同等、もしくはそれ以上のポテンシャルを持つと確信するエリアが存在する。
そのポテンシャルを具現化して楽しむことができるか否かはアングラーの実力次第だ。
潮を見る目や魚に対する嗅覚、そして魚に対するあらゆるテクニックに地域差はない。
僕たちは湾奥で培った力でこれだけの成果を残すことができた。
それを学ぶことができた僕たちは幸せだ。
港を綺麗に片づけて、館山を出て1時間半後。
僕たちはこんな光景に出会った。
それは海ほたるの沖合に広がる巨大な鳥山だった。半径2キロのあちこちで鳥山ができている。
その主役はこいつら。
わずか30分で20本近く。
入れ食いに近い状態を楽しんだ後、僕たちは更に北へ向かった。
使用タックル |
ロッド |
メガバス Destroyer F3-610XS |
リール |
シマノ ステラ4000 DH |
ライン |
東レ シーバスPE 1号 |
プラグ |
ティムコ ベイスラッグ
ソルティバディ
メガバス X-80SW |
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