村岡昌憲の釣行記。東京湾のシーバスからその他節操無く色々と。

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Area14 - Stage4 〜 長崎凱旋 〜

2009年2月22日 長崎市内シーバス

 

 

 

6年前、長崎で1本のメーターオーバーに出会った。

多くの物語に出会った。

色々な物語が始まり、いつしか長崎という地名は僕にとって特別なものとなった。

 

多くのものを失い、多くのものを得ながら、僕は人生最大の選択をした。

そしてなお今も続く物語がある。

 

 

21日土曜日は社員の結婚式で名古屋へ。

僕が長崎から帰ってきた年に入社した社員。

うちの会社も長崎の仕事が起爆剤となり急成長が始まった。

 

共に闘ってきた社員の晴れ舞台に全国から仲間が集まってくる。

その一員となれるこの誇り高い気持ち。

はつらつとした笑顔、結婚する社員のそれは凛々しい顔。

それだけで涙腺が緩むのだった。

 

 

 

 

 

翌日、夕方の便で長崎入り。

着くと長崎はどしゃ降りの雨だった。

それはワイパーのスピードをMAXにしても全く前が見えないくらいの雨。

この雨の中で釣りをするかどうか、そんなことを考えながら空港から市内入り。

 

 

幸いなことに、日が暮れる頃には雨は小雨になる。

夕飯を食べて出撃。

ポイントは6年前と同じ。

が、岸壁から川を見てびっくり。どちゃ濁りである。

 

 

ウェーダーを履いて立ち込んでいく。

久々の瀬は流れのヨレを見る限り健在だった。

あの時はネオンナイト83Lの最終段階だった。

そして今は僕の手元にはナイトホーク91MLがある。

あんなに遠かった瀬が自分の射程距離に確実に入っていることに安心感すら感じながらのキャスト。

 

 

が、ゴミゴミゴミゴミゴミ・・・

 

1時間でそこを撤収。

 

その後、3時間近く走り回ったが有望なポイントはなく、あとは翌日のために潮の引ききった最初のポイントを眺めていた。

 

 

 

 

 

 

翌日、昼前に起きて永楽苑のチャンポンを食べに行く。


ほんとサイコー !これ喰わないと始まらない。

 

 

 

夕方までの時間、散歩に出る。

住宅地の階段を一所懸命に上る。

 

 

僕は長崎の街並みを高いところから眺めるのが本当に好きだった。

リアス式の湾の奥に40万人が住む。

それがどういう事か説明するのは難しい。

 

 

だけど、坂の上から見れば本当にどういうことかよくわかるのである。

 

 

 

 

 

そして、夜は馬次郎へ。


あれから6年。どうやっても東京でこの肉に出会えません 。

 

 

そして桜丼。

年に一度しか食べられないこの不幸。

 

 

グルメの方はこれで満足。

永楽苑と馬次郎に行けたら僕の長崎遠征はトントンになる。

あとのスズキはプラスになるか、トントンで終わるかという話だけだ。

 

 

 

 

 

 

 

日が暮れて出発。

昨日と同じポイントへ行く。

川はまだかなり濁っていてゴミもまだ多い感じ。

だけど、今晩しかないのである。

 

 

潮は満潮からの下げ2分ほど。長崎港で満潮228cm、干潮15cm。

が、一つ二つ山を越えると潮位など全く変わってくるのではないだろうか。

増えるのか減るのかも解らないので現場の状況で合わせるしかないのだ。

 

 

しばらくは川の流れを見ながら瀬のヨレに目をこらしていたが、ライズもないし、ベイトの反応もない。

しかし、橋灯りの下でベイトが動いている様子が確認できるので悲観的になる必要はない。

 

 

 

とろとろと潮が流れ始めたので橋の明暗を流してみることにする。

コモモをキャストして明暗の境目をU字で探っていく。

手前から探っていっての6投目、対岸側のブレイクのゴールデンクロス上でドンとバイト。

 

 

 

おっしゃー

ヒット!

 

 

 

久々の長崎のスズキに顔が笑ってしまう。

慎重に慎重に寄せてランディング。

60センチちょっと越えるくらい。

 

 

その後、明暗は反応が無くなってしまう。

 

 

 

 

 

しばし、静寂の時が訪れる。

僕はずっと6年前にここに立っていた自分の記憶を見つめていた。

何度来ても感慨深い。

そういうポイントがあってもいい。

 

 

 

 

そして、やがて、怒濤の下げ潮が始まる。

堰を切ったようにとは、この事を言うのだろう、流心からシャローの上の水までもがいっせいに下流に向かって流れ出す。

複雑な地形が作り出す強烈なヨレがあちこちに発生する。

 

 

どこから撃つか。

風がほとんど無風、雨は小雨だが濡れることが気になるレベルではない。

本当に静かな長崎の外れの街で、ひときわ音を立てて下げ潮が加速していく。

 

 

 

そして、確信する。スズキは必ず来る、と。

 

 

昨日の大雨がチャンスとなるかダメージとなるかはわからない。

だけど、スズキという魚は、今日を生きるために、明日を生きるために、必ずエサを食いにやってくるはずなのだ。

 

 

右から本流が、右奥から支流が合流し、左へ一気に流れ抜けるポイント。

その三角州、6年前に僕が相当デカイ魚をバラした場所。

あの時はX-110SWのジャーキングくらいしか手がなかったが、今はルアーが進化したからこちらの打つ手がいくらでもある。

 

 

ややアップクロスなので最初からジャーキングである。

こういうポイントを決してただ巻きで流してはいけない。

喰えば1本。喰わないとそれで終わり。

ルアーを見せては絶対にダメなポイント。

 

 

 

6年前は確信が持てなかったこと。

 

 

 

フィッシングショーのあとに大野ゆうきからもらったマリブに変える。

昨年から何回か使わせてもらったが、秀逸なルアー。

ただ巻きでも良いし、ジャーキングしても使える。

スズキが反応するダートアクションは2種類あって、一つは抜ける様に飛ぶアクション。

スーサンとかヨレヨレとかベイスラッグとかが得意とする。もう一つは抜けきらないアクション。X-110SWとかX-80SW、BR@STなどがそうだ。

このマリブも後者に属し、特に飛んで欲しくない時のダーティングアクションが良くて、それでいてキャストの飛距離がしっかり出るものはないと思う。

 

 

ナイトホークとマリブで6年前では考えられない攻略ができる。

ややアップクロスで瀬の頭に落として、ダートさせながら瀬の上を横に通す。

その後は大きなU字となるが、そこで食ってくる魚も瀬際にいた魚だ。

 

 

ますます豪快になるヨレの中にマリブを通すこと4投目。

 

 

スイッスイッとダートさせていると、明らかに抑え込むようなバイト。

 

 

  !!!

 

 

ちょっと不意を突かれてワンテンポ遅れてアワセを入れる。

ロッドがバッドまで曲がってフックアップ。

 

先ほどの魚より強烈に引く。

長崎の魚の引きは本当にすごい。

 

が、ナイトホークもバッドが強い。

PEラインも新品なので不安もなくガシガシ寄せてランディング。

 

70に足りないってところでしょうかね。

 

 

 

リリースに少し時間を取られる。

 

 

魚を逃がして、リーダーやノットをチェックしたあとに、僕はあることに気付いた。

 

 

 

まさか!

 

 

 

なんと川が逆流しているのである。

それもかなりの速度で。

 

 

足元を見てみると、潮位が増えている。

潮時を間違えた?そんなはずはない。

 

が、リアス式の地形を持つ長崎の潮。

潮同士がぶつかってこういうこともあるのだろうか。

 

 

しばらく見ているが、上げ潮の勢いはますます強くなる。

一度下げ潮に着いたスズキが上げ潮で方向を変えると・・・。

そんな視点で辺りを見渡すと目に入った場所が二箇所。

 

これは・・・

 

そこへ急いで向かい、キャストするが2ヶ所とも反応はない。

上げ潮のポイントに確実になる場所だろうが、スズキは下げ潮を待っているんだろう。

 

となると、やることがない。

しばらく待つ。

 

6年前来たときも、下げ潮に段階があって、どっと下げたと思うとゆっくりになってまたどっと下げての繰り返しだった。

今回はその緩むタイミングで逆流まで起きているのだ。

 

 

20分ほどして、また堰を切ったように潮が流れ出す。

 

先ほど魚を掛けたポイントに戻り、何投かするが反応はない。

あまり場を荒らさずに加速していく潮の様子を見ながらキャストのタイミングを計っていると、200m下で強烈な真空音。

 

 

 

 

 

来た!

 

 

 

 

ハードなボトムに大きな石がゴロゴロと点在するエリア。

この一帯の中で一番暗く、ブレイクに石が絡む場所はランカーの着き場として絶好の場所だ。

 

 

 

一度岸に上がり、護岸を走る。

6年前より体力が落ちているのを実感・・・

 

 

ダウンクロスで撃った方がいいポイントだが、ヨレの位置を確認するために一度真横に入らないといけない。

ヨレの位置を確認して、最適なキャスト場所へ入る。

横に30m、上流に20mほど 

コモモカウンターを撃ち込む。

 

根がある場所の5m奥側、5m上流側。

そこに落としてラインスラッグを取ってから、コモモにかすかにアクションを付ける。

ススッとかチョンチョンって感じ。

 

 

魚の反応はない。

ライズが出たのがそこかどうかがわからない。

可能性としては一番とにらんだが・・・

 

下げ潮はほぼMAX。

流心に絡むブレイク周辺は、何かがあってもほとんど解らないくらいにヨレだらけである。

ベイルを返してラインで指先を持った状態でしばらく待つが、ライズは出ない。

5分近く経った。

 

 

これ以上粘ると良くない気がして一度Keep125Fに変えて広範囲を探っていく。

流心の真ん中に投げ込んでU字を書きながら扇状に探っていく。

流れが強いのでダウンクロスよりややアップクロスに投げて回収する感じが良さそう。

 

ブレイク上のヨレの上だけは集中して、色々な変化を付けていく。

3分ほどやっているとブレイク上で突如、バイト。

 

 

ナイトホークが強烈に絞られる。

ファイト中に何かをこする。ボトムの根か。

すぐに外れたが嫌な予感がしたのでドラグを緩め、ドラグワークに任せてのファイト。

 

 

一番時間が掛かったが何とかランディング。

貫禄十分

 

 

80あるかないか

 

 

 

魚をリリースして次に備える。

チェックするとリーダーがボロボロで半分まで減っていた。

 

 

下げ潮が緩んできたので、一度岸に上がって結び直す。

しっかりとセッティングし直して、川に戻るとまた上げ潮になっていた。

 

 

 

すごい川だ。

 

 

 

どんな理屈でそうなるかは解らないが、どんな理屈でも事実は事実。

スズキに理屈は関係ない。スズキはきっと流れに合わせているだけだろう。

だからこっちも流れだけ考えていけばいい。

 

 

 

20分以上続く上げ潮の間、僕はまた考え事をしていた。

6年前より明らかに経験を積んだ自分がここにいて、3本もスズキを出している。

それが地元の人にとってすごいことなのか大したことではないのかなんてどうでもいいことだ。

僕自身がアングラーとして成長した。それだけ解ればいい。

 

 

 

一方で、衰えを感じたものもあった。

体力もそうだが、それより野生の感みたいなもの。

思えば、こういう感覚、子供の頃が一番あったように思う。

経験を積むと薄れていってしまうんだろうか。

水の中の様子を知るのに、経験と勘の割合が年々変わっていく。

その勘の割合が減っている。勘が働かない。

 

 

 

そして上げ潮はやがて緩やかになる。

時計を見ると、下げも7分を過ぎた時間。

次の下げ潮が最後か?

 

 

 

僕は立ち上がり、また川の中へ入った。

上流の三角州も気になるが、時間が間に合わないかもしれないのであきらめる。

点在する根の上流側にポジションを取る。

 

 

そして下げ潮が始まる。

ヨレの位置に注意しながらライズを待つ。

待つ間にたまにコモモカウンターを流心に投げる。

 

 

 

そして下げ潮がMAXに。

 

 

 

 

ボッシュ!!

 

 

 

U字を書いていた僕の下流で強烈なライズ音!

 

 

速攻で回収して、その水柱の方へ投げる。

 

 

遠くて根の位置ははっきり判らない。

 

 

だから狙いすます感じではなかった。

 

 

せめてできることは、ロッドをめいっぱい立てて、なるべく潜らせないように。

 

 

ちょい、ちょちょい、とアクションを付けつつ、U字・・・

 

 

 

 

 

気づけ!!

 

 

 

 

神懸かれ!!!

 

 

 

 

結局は、成長したかどうかなど関係ないのかもしれない。

 

僕はただ祈ったんだ!

 

 

 

 

 

ドン!

 

 

 

 

6年前と同じだった。

 

 

 

僕は夢中でファイトして、必死に岸にズリ上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おお・・

 

 

 

 

 

 

 

 

魚から感じるエネルギーはメーターに比べたら全然物足りなかった。

 

 

 

だけど、本当に大きく強い魚だった。

 

 

 

 

今年最初にメジャーを当てた魚。

 

92センチ!

 

 

 

 

 

その後、下げ潮が再び勢いを増すことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、僕は仕事先だった場所の対岸にいた。

 

 

ここから眺める長崎の街が好きだった。

 

そして長崎名物、トルコライス。

最高のご馳走

 

 

 

 

 

 

 

 

今年の正月、mixiに一つのメッセージが届いた。

「お元気ですか?」

 

 

6年前、

「ありがとう、そしてさようなら」

というメールが最後に来てから、お互いがどこで何をしているのかもわからなかった。

 

メッセージには多くのことが書いていなかったけど、プロフィールのページで僕は彼女にその後何かあったかを知った。

 

僕もあれからのことを書いてメッセージを返した。

 

彼女からの返事は来なかった。

 

 

が、彼女の日記にはとても嬉しいことが書いてあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

使用タックル
ロッド icon アピア 風神号91MLナイトホーク
リール icon ダイワ イグジスト3000
ライン icon 東レ シーバスPEエフゼロ 1号
プラグ

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アムズ コモモカウンター

 

 

アムズ KEEP125F

 

 


マングローブスタジオ マリブ

ゴミ icon ペットボトル

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