村岡昌憲の釣行記。東京湾のシーバスからその他節操無く色々と。

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Area30  〜 沸き上がる海流を読め 〜

2000年7月9日 港湾部シーバス

 

台風3号が前日の夜に関東地方を縦断した。

風より雨がたくさん降ったため、湾奥は白濁りのヘドリー状態で終わっているのではないかと考えた。

今月は通常の3倍近い原稿依頼が来てしまって、どうにもならない状態だし、おとなしく原稿でも書いていようと決め込んでいると夕方、電話が鳴った。

出てみると樋口さん。そう、T.S.S.T.の事務局長の樋口さんである。

どうも家庭生活がうまく行かないのか、うっぷんが溜まっているらしい。

土曜の夜にも関わらずの出撃のお誘いであった。

 

こちとら明日は夫婦で結婚式に出席の予定。

とはいえ、白濁りの攻略法をここ近年開発している僕は少しだけ行きたくなってしまった。

そこで渋る嫁さんに、ハーゲンダッツのアイスクリームを反転食いさせて3人で出撃。

午前様にはならないようにということでの出撃となった。ついでにルアーフィッシング情報の取材もかねて行うことにした。

 

夢の島で車から降りて運河を見たらかなりヘドリー。

樋口さんと合流して考える。

こんな時の基本中の基本はシャローである。濁った水はシャローから澄み始める。だからシャローなのだ。だけど、このパターンは王道中の王道なので今さらそれで攻略しても仕方がない。

そこで前々から考えていた海底深層水のお話である。

最近TVや雑誌などで取り上げられてハヤっている海底深層水の化粧水とは違う。

「すごく肌に良いんだって」と嫁さんがさっそく購入してきたけど、全然効いていないのとは違うのだ。

やっぱり湾奥全体の潮が悪いときに魚はどこに行くかということを考えるとディープチャンネルを外して考えることはできない。

間に水深のある航路が続く大井と青海の間には毎日脈々と潮が流れるのだ。

そして今日一番潮が動くのはこの時間の上げ潮である。

狙うはこの上げ潮に乗ってやってくる湾央の良い潮。普段は底の方に流れているが、これが岸に当たって海底付近から沸き上がるエリアである。つまり潮が当たって沸き上がるには深い岸壁やカケアガリでないといけないので、いつも僕が狙っているディープチャンネルに面したシャローではない。

沸き上がって一帯に潮の良い状態を作り出すエリアはどこになるかを考えた。

そんで青海である。

航路に面した思いっきり水深のあるエリア。着いてみると予想通り、海底深層水が沸き上がる対流を起こしていた。これは普段ならルアーを引いて抵抗感を感じないとほとんど判らないけど、極端に真っ白な真水が流れ込んだ今の湾奥では誰がどう見ても下から澄んだ潮が沸き上がって混ざっているシーンを見ることができた。

こんな時は魚は手前にいる。

ちょうど流れがあたる4m先の杭ストラクチャーにひょいっと投げる。

X-80SWをテロテロとリトリーブすると杭の真横でゴンとバイト。

 

なんなくの50センチくらい。

あ、今日はもらったわ。と思って活性の高い魚を捕っていく作戦にする。

樋口さんも幸先良くセイゴをゲットして、なんだか楽しそうだ。

ここは狙うとなれば普段はそれなりに遠投が必要な場所だが、今日の魚は手前側に集まっているし、魚はこっちを向いてステイしているのだ。後はルアーを真上に通してやるだけでバイトがでてくる。

とは言っても簡単なことではない。こっちを向いているシーバスに対してルアーをプレゼンテーションする事は極めて難しい。

そんなことでLIP IN BAITのムーングローをキャストする事、30投。柱を通した直後、足下でいきなりヒットしたのを竿先で針先だけアワせて、そこからシーバスとタイミングを合わせて鬼アワセ気味にアワセを叩き込む。

上出来の50後半。

 

 

今日はセイゴの入れ食いだった。30センチ前後は何をどう投げても食った。その沸き上がる水流の中を好んでいるようで、ストラクチャーとか関係なく足下に大量に泳ぎ回っている状態だった。

セイゴはラパラが大好きで、入れ食いといって近い状態だった。

3匹も釣ったら飽きたのですぐにでかいの狙いに戻す。

で、樋口さんはセイゴのバイトが出るパターンを完全に引きずっている感じで、どうもセイゴだけで終わりそうな展開、嫁さんは相変わらず50絡みを次々と掛けている。嫁さんのことを気にするといつもまくられるので、今回も離れたところに行く。

僕もフッコを4本続けた後に反応が無くなってしまっていた。

上げ潮の勢いが弱まってきたせいのようだ。

そこで、岸壁の一番奥まで進んでいく。さっきまで樋口さんがいたエリアに沸き上がる潮が一ヶ所、変な感じになって勢いを増して柱に当たる場所があった。ルアーを通すと押し戻されていくほどだ。

これはと思って、付近を何ヶ所かチェックしていく。

すると最も流れが当たる柱をハチマルの泳ぎの激しさから感じることができた。そこでは流れもねじれて下から沸き上がった後に横方向に流れ出す感じで潮が次から次へと沸いてくるのだ。

その柱にハチマルを通す。デッドスローで柱の横を通すが、ルアーの揺らぎで反転の気配を感じたのみ。

どうもハチマルでも泳層が深すぎるらしい。

そこでルアーケースを探してみると、その日唯一のフローティングミノーはdazeミノーであった。

そう、シーバスGETだぜのしゅうちゃんが作るあの秀作ルアーだ。

このルアーで僕はまだシーバスを釣ったことがないが、SALTY BUDDYも車に忘れてきたことだし、結んでみることにした。

柱の向こうに投げてデッドスローでリトリーブ。

まさに柱の横で水面が盛り上がったが、ヒットにはつながらなかった。

そこでもう少し離して投げて、柱の真横までリトリーブしてから少しドリフト気味に、柱に擦り付ける。

裏っ側にルアーが流れていった直後、ゴンというバイト。

こんな時、ヘビカバタックルは最強だ。

リーダーを柱に擦り付けたまま強烈にテンションを掛ける。

シーバスが向こうを向いて走ったらラインブレイクは間違いない。

が、伸びないPEラインに硬いサーフスターではシーバスも顔の向きを変えることすらできない。

3秒ほどの膠着状態の後、耐えきれずにシーバスは柱の手前に出てきた。

そこからエラ洗いを繰り出してきたが、そのまま背筋を使って更にアワセを2回叩き込む。

その時点で70UPであることが判ったので、ドラグを緩めて今度は走らせながらファイトする。

リーダーが少なからずやられているはずなので無理はできない。

で、徐々にドラグを緩めながら弱るのを待つ。

そしてそのままゴロタ場に降りてハンドランディング。

 

75センチの頭でっかちだった。


今回はルアーフィッシング情報の9月特集の取材もかねていたので写真をバシャバシャ撮る。

それからリリース。

リーダーはボロボロだった。手で引っ張るとあっさりと切れてしまった。

システムを組み直して、再度ポイントに戻るとすでに水流も止まる寸前だった。

そこで終わりとした。

 

水質が極端に悪化した時のパターン。前にも書いたが、基本はシャローである。

が、良い潮はシャローだけが作るだけではない。

沖から入ってくる潮も重要な要素を占めるのだ。

これから夏場は何度となく潮が真っ白になるほど激しい雨が降る。

夕立でも台風でも潮は濁る。

タフッた時は上げ潮時。上げ潮で良い潮が入れば魚は食いが立つ。

覚えておくといいだろう。

 

 

 

 

使用タックル
ロッド Palms SGP-86L
メガバス Destroyer F3-610XS
リール シマノ ステラ4000 DH
ライン 東レ シーバスPE 1号
プラグ ティムコ ベイスラッグ
ソルティバディ
メガバス X-80SW
   




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