村岡昌憲の釣行記。東京湾のシーバスからその他節操無く色々と。

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Area30 - Stage3 〜 台風襲来前々夜 〜

2001年8月19日 荒川・港湾部シーバス

 

 

 

台風11号の接近により、この3日間、結構な強さの北東風が吹き荒れた。

すると発生するのが千葉方面の青潮だ。風に乗って表層の水がどかされ、その下から沸き上がる青白い潮は死神の潮。高濃度の硫化水素、そして無酸素。全ての魚介類が死に至る。

大移動ができないアサリやハゼ、穴子やカレイなどはただ死を待つばかりだが、シーバスはその絶体絶命の中で必死に生き延びるための努力をする。進むべき方向を彼らが知り得ているのかどうかは分からないが、移動した先に待っていたのが、またもや青潮であれば、彼らは死んでしまう。

その待避先として見当を付けた船橋港。19時にポイントに入る。沖が壊滅した今、港から出る生きた潮に魚が寄ってくる。そんな構図を考えて挑んだが、港の中も青潮でかなりダメになっていてしまった。一部潮のいいところもあってチェックをしてみたが反応無し。やはり雨が少ないせいか、岸からの押し出し量が少ないのだろうか。

21時頃、荒川の河口域に入る。まずは平井大橋。最近、この辺りが好調だったと聞いていたので、下げ+北風の狙いで入る。まずは右岸。フレッシュバック100SRFで明暗部を探るとすぐにヒット。が、バレてしまう。サイズは35センチぐらいか。

続けて1度バイトがあり、ちょっと思案した後にサラナの90Fにチェンジ。カラーはレッドヘッド。

明暗部、ではなく、橋下の暗がり。

橋脚に当たっている潮が作り出すV字ラインの潮のよれ。そのよれ返しにサラナを送り込む。

3投目、いい感じ。よれからサラナが出て水をつかむ。その瞬間に、コン。

二つ待ってコンコン、ゴン!と魚が乗るのを確認してからスイープにアワせる。

乗った。

流れに乗ってドラグを出していく。60ちょいぐらいか。

下流に歩きながら魚を岸際にテンション掛けて寄せていく。が、魚の頭はずっと下流を向いたまま、流れに乗ってグングンとラインを出していってしまう。

夏の川の魚は本当にパワフルだ。

なかなか弱まる気配を見せないが、さすがに4分ほどしてようやくバテたようだ。水面に苦しそうに浮いた、その瞬間にテンションをグイっと掛けて頭をこっちに向ける。

こうなれば後は早い。向こうの抵抗する力を岸側にベクトルを変えて魚から岸に寄ってきてもらう。

見ると70センチ近い。まるまると太っていていい感じ。テールフック1本がカッツリと上あごに掛かっている。辺りを見渡したがハンドランディングできそうな場所はない。

そこで覚悟を決めてぐいっと持ち上げるとあともうちょいのところで外れてしまった。

「ごわっ!」

天を仰ぎ、足下の葦をけっ飛ばす。

 

橋にとぼとぼ歩いて戻る最中、Goroさんから電話が入った。

「今日出てるの?・・・ わかった。」

と、言うことで合流。

Goroさんを待っている間、また明暗部をヨレの中を攻める。

Z-Rayのクエイクで25ぐらいのをキャッチ。

このサイズが出ると言うことはもっと上流部を攻めた方がいいかもしれない。

その後、反応が無くなったところでGoroさん登場。

どこに行こうか相談したが、もう下げ止まりだ。

上げの北東という展開で川の中のゲームはおそらく厳しい。

青潮も絡んでいるし、若洲テトラとか面白いのでは。

そんな話で若洲テトラに行くことにした。

 

 

23時頃に若洲テトラへ。

案の定、北東の風がもろに当たって結構な荒れ具合。

最初は角でやろうかとも思ったが、先行者3名有り。ちょっと様子を見たが、あんまり芳しくなさそうだったので、話を聞いてみる。すると21時頃は良かったけど今は全然ダメと言うこと。やはり下げ止まってから食ってこないんだろう。

そこで、南の方へずっと降りていく。浦安の方から吹き抜けてくる風が運ぶ潮を探す。

これが今回考えたキーワードだった。

表層を運ばれてくる潮は酸素量も豊富で水温も適温になっているはず。

結構南側に降りていったが潮目は見つからない。

やはり上げ待ちか。

風表で蚊もいないのでGoroさんと談笑しながら並んでルアーをキャストする。

1時間ほどやっていただろうか。やっていたけど、根がかりをしたくないとか言う理由で二人ともトップを投げている状態。出れば出るんだろうけど、ものの見事にノーバイトだった。

 

しかし、やがて上げ潮が効き出した。海面が対流を起こしている様子からそれを察知。

左からの荒川の水。正面から来る風に乗って来る表層の潮。そして力強く動き出した右からの上げ潮。

その3つが真正面でぶつかる場所。それより上げ潮側のエリアに入ればチャンスは大きい。

 

南側に歩いて探ろうかとも思ったが、待ってりゃそのうち来るだろ。

 

と、いうことで待ちモードの釣り。

15分ぐらいしていよいよいい感じのざわつきが右からスルリスルリとやってきた。

潮目だけど、潮目はない。

基本的に3方から潮の流れがぶつかっていても、潮目ってかなりはっきり出る。

しかし、今回のケースだと風が正面から吹いているのでテトラから反射する波がその潮目をつぶしてしまっていた。

だからざわつき。

普段から、葛西とか旧江戸のシャローでやっている人なら判るはず。

そのざわざわが正面を過ぎていく。

「釣れるといいね。」

不安と期待が混じる言葉が思わず口を出た。

3分後、Goroさんに突然ヒット。

「おお、これいいよ!」

と、竿を曲げている。見ると先ほど僕がバラしたサイズくらいだ。

テトラだというのに相変わらずタモも持ってない2人組。

周りには誰もいないし、ランディングを手伝うことに。

2分ほどファイトをして足下のテトラを交わす。

向こうも必死だ、何度と無く突っ込みを見せる。

そのうちにポロッと外れてしまった。

 

気を取り直してキャスト再開。ざわつきははるか上流の方に消えたが、いい感じの上げ潮の流れがテトラ前を流れている。

沖から吹く浦安・船橋方面から来ているだろう波と潮もその上げ潮に乗って荒川を上っていく。

「絶好だ・・・。」

過去に何度と無く、大ハメ(注)をやってきたが、それに近い武者震いを久々に感じた。

(注意:大爆釣と同意義。僕の中の定義では20GET&60up10本以上。読みとスキルが完全に一致しないとなかなかこの数字は出せない。もっとも最近はこの辺りの数字に興味を失いつつあったが、男としての狩猟本能を持っている以上、目の前にハマるかもしれない条件がある時に、狙うのは当然であろう。大爆釣と呼ばないのは釣りのゲームがパズルと同じであって、アングラーが様々なピースをハメて初めて出てくる結果だから、そう呼びたいのだ。)

台風11号よくやった。

ついでに川の上流部とダムにちょいとばかし雨を降らしてくれ。ほどほどにな。

 

 

サラナをやめてZ−Rayのラッシュにチェンジ。

3投目。ミディアムファーストの早巻きでサーチしている時にゴンとヒット。

 

45センチぐらいのまるまる太ったシーバスだ。

「うひひゃひっひゃぁひゃぁ」

半ば裏返った笑い声が横から聞こえてくる。

Goroさんも同サイズをすでにヒットさせて竿を曲げている。

「いいね。」

「うふひゃぁひゃぁひっふひ。」

Goroさん、すでに意識がない(笑)

波しぶきを豪快に浴びながら最下段のテトラに降りてファイトしている。

 

今日の展開はどうも水面下30センチぐらいだ。荒れた水面を飛び出したりしないように、水をしっかりつかませてリトリーブしてくるとひっきりなしにバイトしてくる。

サイズは40センチ級が主体で10センチぐらいのから様々。

3本ほど、40センチ級を掛けて1本をキャッチ。

やはりテトラ際がキーワードか。

沖にも魚はいるのだが、結局食わせるきっかけが際になる。

そこで際にキャスト。

二巻き目に強烈にゴンとルアーが引ったくられた。電撃で瞬間的にロッドを立ててバッドパワーで魚の向きを上に向ける。ここで主導権を渡したらラインブレイクは間違いない。ググッと向こうが抵抗を見せるのを強引に魚を浮き上がらせる。魚が潜るのをあきらめて沖に向かいだした。すかさずドラグを緩めてちょいと沖側に出てもらう。

5mほど出てから再度ファイト開始。

下に下に突っ込もうとするシーバスにサーフスターを目一杯立てて抵抗する。

ドラグからラインを3mほど出す瞬間的な走りを何度となく見せて結構ヒヤヒヤしたが、やがて力つきた。側まで降りてハンドランディング。

まるまる太った74センチ。

ベイトは見えないが、この反応の良さ。相当な数のサッパでも岸際にいるのだろうか。

 

で、ちょっと蘇生に時間が掛かったが無事にリリース。

流れはいよいよ速くなって波も高くなってきた。

すでにジーパンがびしょびしょだが全然関係ない。

 

 

その間にまたもやGoroさんにヒット。

「でっけぇ!!」

ってな声が聞こえてくるので慌てて駆けつける。

ジャーーーーーッとシーバスでは滅多にない甲高い音を出して走る。

これは80はあるかも。

ずいぶんと沖に出てしまって、根に入られる危険性が出てきた。

テンションを上に上に掛けて魚を浮かそうとする。

少し寄ってきた魚がまた走り出した。

ジージージーーー!ってとこで口切れでバラシ。

 

 

3分ほどすると

「うわぁ〜」

って、またGoroさんが悲鳴。

携帯が沈したそうで。合掌。

 

 

ハッと気づいて慌てて携帯を見る。僕のは無事。でもデジカメがびっしょり濡れている。

やばい、って思って拭いているうちに中の電池が海にボチャッと。

あいた!やっちまった。

 

 

以後、際とブレイクラインを丹念に攻めていって40センチ級3本、50センチ級2本、60センチ1本で終了。40/50センチ級はフレッシュバック、60センチはX-80SWでヒット。

結局、13HIT10GETであった。ひさびさの2ケタに満足。

 

今回のキーワードは北東風。青潮。

結局は潮がいいところに魚は集まるという鉄則を貫き通しただけの結果だ。

 

下げが絡めば魚は出しやすいが、上げというとなかなか思うようにならない展開が多い。

今回は大ハメにはできなかったが、そこそこいい結果も出たので十分満足。

今日釣っていて、もっと条件がいい場所を思いついた。

次にまた条件が揃ったら行ってみたいところだ。

 

というか、今晩良さそうだけど、残念ながら家族サービス。

台風よ、後一日待ってくれ。

 

 

 

 

使用タックル
ロッド Palms SGP-86L
リール シマノ ステラ4000 DH
ライン 東レ シーバスPE 1号
プラグ Z-Ray Rush
Z-Ray Quake
Megabass X-80SW
Anles FB-100SRF
SMITH SURUNA-90F
   

 

 

 




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