シーバスのルアー釣りにおけるバチ抜け攻略法

トップへ戻る area



 

 

Style
第一章
スズキについて知る
リリースについて考える
 
第二章
ヘビカバスタイルについて
港湾部のタックル
河川・干潟のタックル
ライン
ポイント開拓
ルアーの食わせ方
アワセについて
ランディング
小物について
 
第三章
潮の攻略
初夏の攻略
・夏の攻略
・秋の攻略
・冬の攻略
 
第四章
ゴミを拾おう
いい男になろう
オリジナルカラー
 
 
 

 

 

 


トップへ戻る >>> Style -シーバス攻略法- >>>

〜早春からバチ抜けにかけて〜

早春〜GWにかけてのシーズナブルパターン

 

 

 2月上旬、東京湾に一足早い春の便りが届きます。スポーニングを終えたシーバスがまた浅場に戻ってくるのです。。子孫を残すということがどれほどの体力を消耗するのか僕らは知る由もありませんが、激しく痩せ衰えたシーバスは浅場で活発な捕食活動を行い体力を取り戻していきます。

 早春は決して春ではありません。海の中はまだまだ冬、しかし陸には春の足音が聞こえる。そんな季節にシーバスは戻ってきます。シーバスは体力回復のために荒食いをします。それは秋に見られる荒食いと比べても全く遜色無いほど活発です。

 やがて2月下旬になると春一番が吹きます。この暖かい南風がグングンと水温を上げていきます。気象庁が発表している統計によると2月26日前後だそうです。春一番の定義は確か最大風速8m以上の南風だった覚えがありますがそんなことはどうでもいいんです。
  要するに人間の都合で決めているだけで、春一番の前にも強い南風が吹きますし、春一番のあとにも2番3番と次々と強烈な南風がやってきます。その度に水温が徐々に上がっていきます。

 そして海の中に訪れる春の気配を感じ取って動き出すのはベイトフィッシュであり、カニやバチなどの生物です。1月下旬のアカゴカイのバチ抜けからGWにかけて発生するイトメのバチ抜け、大潮の晩に行われるイシガニなどの産卵など、海の中では次々とビッグなイベントが繰り広げられます。

 この小さな小さな卵を求めて盛んに移動するのがイナッ子や稚アユ、背黒などの小魚達です。特にゴカイが岸際で産卵する時に顕著に見られますが、岸際の水が真っ白に濁るほど卵が生み出され、その卵をより密度が濃い場所で捕食しようと水深数センチの岸際まで小魚が上がってきます。そしてその小魚を求めてシーバスもブレイクに待ちかまえているという様な春の食物連鎖構造があちこちで見られるようになります。

 1月下旬にもなると卵をはたいたシーバスがさっそく姿を見せ始めます。彼らは決して数は多くはありませんが、よりベイトフィッシュの濃いエリアを中心に回遊を見せます。この場合、前年の秋シーズンと好調なエリアが共通するのが特徴です。

 2月は例年この魚を狙っての釣行となりますが、一部川崎方面からの群れが城南島〜青海ラインに姿を現すのが例年の常です。また、大潮周りにバチ抜けが頻発します。また、年によって変動が激しい千葉方面からの回遊ものも若干姿を見せ始めます。

 3月になって水温が11度を上回る頃になると湾奥にカタクチイワシが突入してきます。このカタクチイワシが連れてくるのが春の第二陣です。カタクチイワシは中央防波堤〜大井埠頭に長く滞在するのが例年の特徴で、ほとんどのシーバスも中防沖を中心に滞在します。その中の一部(それでも数千尾はくだらないでしょう)が若洲側、城南島側から航路沿いに湾奥に突入してきます。

 この頃から誰でも簡単に狙えるようになります。

 俗に言う春開幕です。杉花粉も全開になります。毎日「非常に多い」の予報が出るようになるといよいよ本番。桜が咲く4月上旬に最高のピーク状態に突入します。ちなみに桜の開花が遅ければ魚も遅いし、早ければ魚も早いです。桜が早く咲く年はピークも早いですし、遅咲きの年はピークも遅くなります。

 4月はバチ抜けがあちこちで起こり、バチパターン全盛の展開となります。しかし、実際の所はイワシの数次第で全く普通のゲームがあっさり成り立つ時期です。魚はベイトの種類を選ばすに捕食をしますが、ここ数日間の捕食してきたベイトを好む嗜好性を持っています。ということは、ルアーの種類やアクションで大きな差がつくということです。春の難しさがここの見切りでしょう。ヒットルアーの情報をしっかりと参考にして対応していきます。

 GWになるとバチ抜けも小康状態になりますが、逆にバチ抜けパターンといわれるスローな釣りはこの時期から威力を発揮します。

 

 

早春の魚を求めて

 必要な要素があります。風・太陽・濁り。ベイトフィッシュの行動を大きく左右するこの3つのファクターを把握することが、早春シーバスの攻略に必要不可欠になります。そして早春のポイントとなるのは決してハイシーズンのポイントだけではありません。厳寒時のみのポイント、そう呼ばれるポイントがどのエリアにも存在します。

 風と太陽と濁りが生み出す水温上昇という結果から始まる食物連鎖、その観点から見た早春ポイントを見つける方法を書いていきます。

まずは風。

 早春の夜はまだ寒いです。夜はほとんど北風が吹きます。港湾部の水温は浅ければ浅いほど風の影響を受けやすくなります。冷たい風が水面を走るエリアの表層水温は当然低く、逆に風が当たらないエリアの水温は夜間でもさほど下がることはありません。 ビルに囲まれた運河や倉庫の建ち並ぶ風裏の水路など、北風が強い日でも鏡のように水面が静かなエリア、こういったエリアが狙い目となります。それはハイシーズンでは目もくれないようなポイントだったりします。お薦めは幅の狭い運河です。明暗部パターンできっちりと攻め込むと簡単に魚を出すことができます。

 また沖に面していて南向きに位置したエリア(若洲・辰巳・有明・青海)は北風が吹くと、ボトムから湧昇流が発生します。このボトムからの水の水温が11度近くあります。この水が混ざり合うエリアにあるストラクチャーは凄まじい数の群れが入ります。航路沿いにボトムを回遊してくるシーバスはこの上昇する流れによってストラクチャーの表層付近に上がってきます。早春はこれを狙うパターンが最も数を出すことができます。

 また、低気圧が近づいてくる時に吹く強い南風、春一番が有名ですが、同じ様な風が2月中旬から4月下旬にかけて何度も吹き荒れます。少し暖かいのでイイ感じです。その南の強風が吹くと南向きのエリアは荒れます。その暖かい空気を巻き込み、波立つ水面の水温はグングンと上がっていきます。気温と同じぐらいまで上がると思って間違いないでしょう。そして南風と南西風は濁りを発生させると覚えておきましょう。

 潮が濁って水温が上がればベイトが集まってきます。その結果シーバスも集まってきます。そのような風が吹いている間は南向きのエリアが圧倒的に強いです。しかし、世の中そんなに甘くない。
  この時期の強い南風はわずかな時間しか吹きません。そして南の強風の後は必ず同じぐらいの強さがある北西風が吹きます。するとグングンと水温が下がります。湾奥の場合、せっかく上がった水温の高い潮も沖に持ってかれてしまいます。すると対流が始まってわずか半日で澄んだ潮と入れ替わってしまいます。

 狙うは南風が吹く時間。そして風変わって濁りが消えるまでの時間。

 もう一つ。その潮が逃げないエリアを絞り込みます。三浦や房総と違い地形が人工的に複雑な湾奥は濁った潮が全て出ていくとは限りません。その水温が高く濁った潮が残るエリアを絞り込めばヒットが近くなります。潮汐のタイミングを計算しながら南風が吹いている間、シャローで温められた潮がどこに流れていくかを考えて釣行します。

 

 お次は太陽。これまた重要。一年中重要だけど特にこの時期重要。

 2月にもなると小春日和と呼ばれる日が週に2日ほど訪れるようになります。日中の町中は風がほとんどなく(実際は弱い南が吹いてます。)、暖かい日差しがポカポカと気温を上げてくれます。

 仕事中や授業中についうたた寝したくなるような日こそが早春シーバスの狙い目となります。

 

会社員としては最悪ですが釣り人としては最高です。

 特に水の動かない閉鎖水域では太陽光線によってグングンと水温が上がり、付近の水温に比べ2〜3度高くなります。そんなエリアにベイトフィッシュは集まってきます。ちなみに勘違いしてはいけないのは温かい潮だからベイトフィッシュが集まるのではないということです。別にベイトフィッシュは外の水を寒いとは思ってないはずです。温かい潮はプランクトンの増殖が活発だからベイトフィッシュが集まってくると考えましょう。

 北風の強い日であっても運河などではその風を遮るビルなどがあれば十分に狙い目です。 また、シャローエリアでは水よりボトムの方が太陽光線によって暖まりやすい特徴があります。そんなエリアではバチ抜けなどの現象も1月上旬には見られるようになり、それを目当てにカニやエビなども活発に動きます。

 シャローエリアは風が吹くと水温が下がるのも早いので見極めが非常に難しいです。暖まりやすく冷えやすいという特徴を良く把握して釣行したいものです。ただ、水温と違って暖まったボトムはそう簡単には冷えないということも知っておきましょう。

 

 

 

 お次は濁り。やっぱりこれが早春は一番重要かな。結局全部絡み合うのでどれ一つ欠けてもダメなんだけど。

 冬の湾奥の潮は一年の中で最も透明度が高くなります。もともと透明度決定する要素の大半は水中のプランクトンな訳ですが、水温が一ケタ台になるとプランクトンがほとんど活動できなくなるので、非常に澄んだ潮になるのです。(但し、決して水質的に綺麗なわけではありません。)

 水温の上昇を加速させるのが濁りです。濁りは太陽光線を存分に受け止める効果があるので、それによって太陽光線は濁りに吸収されて水温がグングンと上がっていくのです。そんで暖かくなるとプランクトンが増殖を盛んにするようになります。すると更に濁りが生まれてきます。


この色になったら最高です。

 

 この濁りを発生させるファクターとして上に書いたプランクトン以外にあと3つあります。

  一つは風。風が吹いて底荒れすることで濁りが発生します。更に風は濁った水を風下へ動かす効果があるので、濁りが発生するエリアとそれが適度に薄まるエリアなど様々なサブファクターを生み出す要因となります。

 二つ目に雨。雨が降れば河川から濁りが発生します。この時期の雨は冷たい雨が多く、雨後は一時的に水温が下がるものの、太陽が出ればその濁りによってあっという間に元の水温まで戻ってしまいます。

 三つ目に水が動きづらい閉鎖水域のボトムです。このようなエリアに太陽光線が強く当たるとボトムが暖まり、底の水が暖かくなります。暖かくなった水は夜になって冷たい風が吹くと表層の水が冷やされてターンオーバーを起こします。ターンオーバーとは簡単に書くと表層の冷たい水と底層の暖かい水がひっくり返る現象です。どわっとボトムに沈んでいる堆積物やプランクトンが巻き上げられて濁ります。

 バスフィッシングをやる人は秋の恒例行事としておなじみでしょう。(僕は見たことありませんが)海でもこのような閉鎖水域で見ることができます。そして湖のようにターンオーバーの後が死んだ水ばかりって訳ではないので魚は元気に飛び込んできます。
 ちなみにエリアによっては 一見すると死んだ潮みたいな感じで釣れないように思えますが、これは本当に釣れません。 春の暖かくなる時期に一瞬釣れ渋る潮がこれです。
  これは冬の間プランクトンが活動しなかったために水中にたまった豊富な窒素化合物(栄養分)が一気にプランクトンに分解されて一時的に酸欠気味になるからではないかと考えられます。但し、それが一段落し、動物プランクトンが増え出すと最高の潮になります。

 ちなみに三つ目の現象については水がある程度濁ったら、ボトムまで光線が届きづらくなるためにさほど有効ではなくなってしまいます。


一見悪い潮に見えますが、これが春のスズキを釣るのには最高の潮です。


もっと近くで見るとこんな感じで細かい粒子がいっぱいあります。全部プランクトンの死骸です。

 

 上記を読んで頂いてご理解いただけたかと思いますが、これらの現象は単独で起こるものはありません。要するに4つのファクターが複雑に絡まりあって水温上昇という結果を招き、そのエリアから食物連鎖のチェーンが始まるのです。

  ちなみに海水温は1年のうち3月が最も低いというデータがあります。よくシーバスの教科書本にも書いてあります。これは正しいけど湾奥は違います。2月が8度台、3月は10度台を推移します。あくまでも他の海域での話。運河やシャローなどは2月にもなれば他のどこよりも早く水温上昇が始まります。これは東京湾奥全体が浅い水域であることと南風が吹くことによって濁りが発生する湾奥の特性ではないかと思います。 

 といったわけで小春日和は閉鎖水域に行けば簡単に釣れそうな気がしますが、世の中そんなに甘くありません。アングラーの天敵、マガモです。

 

  現にこの季節、水温の高いエリアにはマガモが集まっています。冬場は夜になると気温より水温の方が高いのでマガモは水に浮かんで寒さをしのぎます。少しでも水温が高く風の当たらないエリア、そんな場所を好んでマガモは集まってきます。ポイントについてマガモがいればかなりチャンスが高いと思っていいでしょう。

 そういう訳でコレといったポイントに必ずいるマガモ。彼らは人間にビックリすると飛んで逃げるわけですが、その飛び方が実にまずいです。水に浮かんだ体勢からはすぐに飛び立てないらしく、必ず10mほど羽で水面を叩きながら離陸していくのです。

 シャローでカモが一斉に飛び立った直後のヒットは過去の経験に一度もありません。ディズニーランドの花火よりたちが悪いです。カモ鍋にしてやろうかと何度思ったことか。(場所がどこだろうとカモを捕まえると密漁で捕まります。美味しそうなんですが・・・。)

 しかし、世の中そんなに厳しくもありません。基本的にはマガモも飛びたくはないようでアングラーがゆっくりと近づくと足で泳いで遠くに離れていきます。そこでポイントに着いたらマガモを飛び立たせないように両手をあげて半歩ずつ近づいていきましょう。

 それが一番ですが、人に見られるとタダの変な人。かなり恥ずかしいですのでルアーをキャストしてリトリーブしながら少しずつ近づいていくのも手の一つです。

 またマガモが風裏でしきりに潜っていたり、寒い中、風当たりのいい場所に出ている時はその下にベイトフィッシュがいると思って間違いありません。茶色で首の長い鳥もよく見かけると思います。彼らは鵜(ウ)ですが、彼らが積極的に潜っていたら間違いなくベイトフィッシュがいます。だからってそこに投げたってそうそう釣れる事はないのですが、そのエリアのどこかにシーバスがいると考えるのは間違いではありません。鵜がいるエリアは間違いではないのです。

 最後に誤解されるといけないので書いておきますが、マガモと違いシーバスは水温の高いところを求めて集まってくる訳ではありません。産卵後の体力回復のために最も効率よくベイトを大量捕食できるエリア、それが水温の高い場所なのです。 だからいくら水温が高くても、ベイトの気配もない場所ではヒットは望めません。反対に多少低くてもバチ抜けなどが見られるようであれば有望となるのです。

  つまり他の季節と違い狙うべきポイントというのが存在しません。その日の風向き、天気などによって狙うべきポイントがめまぐるしく変わってしまうからです。春は難しい、と思う方はそこの対応が遅いのです。

 

 

  3月初旬の水温は南風で暖まっては北風に冷やされてといった上下動を繰り返します。そして同じように上下動を繰り返すのが花粉の飛散量。暖かい日に花粉が多く飛び、肌寒い日は花粉が少なく飛びます。そう、花粉の多く飛ぶ日こそがシーバスの絶好のチャンスです。花粉症のアングラーにとって実に恨めしいこのセオリー。マスクと眼鏡をして挑む以外ありません。

 しかしきつい。寝不足の体調も相乗効果を発揮し、翌朝の腫れ上がった顔を見るともうお婿にいけない、なんて思ってしまうほどきつい。

 そこで花粉症のアングラーにお薦めのワンチャンス。この時期、週に一度のペースで雨が降ります。雨は全ての花粉をスクラバー効果で地面に叩き落としてくれます。空中に花粉はない。ということで、雨の日に出撃すれば花粉症もひどくなりません。

 もう一つ。雨の上がった日の晩です。花粉は朝になると同時に飛散し始めますから、午後に雨が上がった場合は次の日の朝まではノー花粉タイムです。 これが一番僕がおいしい思いをしているパターンかな。

 

 

 

 

バチ抜け必勝三ヶ条

 

 3月下旬にもなるとバチ抜けが最も盛んになり、そこから成り立つヒットパターンをいかに絞り込むか、というゲームマネジメントが求められます。

そこでバチ抜けとはなんなのか。そこから話を始めましょう。

  バチ抜けはイトメが産卵する為に海底から這い出る現象のことを言います。最近はゴカイが這い出てもバチ抜けと呼ぶようになりました。その方が便利なので海底から虫がうねうね出てきたらバチ抜けと思ってしまった方がいいです。

 バチ抜けの攻略は難しいとよく言われます。でも簡単。僕が何度も書くように人間から見た世界でなく、バチから見た世界を想像できるようになればいい。あなたがもしバチだったら。

 僕はそんなバチ抜けの中で釣りをしていると例えようもない無常感に襲われます。食物連鎖の狭間に誰も気付いてはくれないはかなさを見いだしてしまいます。

 今日、この日を彼らは待ち続けていた。卵を少しでも遠くへ広く、その思いだけで潮時を計っていた。やがて春の大潮。明け方の満潮、ここから潮は非常に大きく下げる。風はどうか、そよそよと北が吹いていれば問題ないだろう。行くか。天敵だってしたたかだ。イナッ子も稚アユもサッパもセグロもみんなその栄養価の高い卵を求めて付近に待機している。スズキだって待っている。だから、彼らは一斉に海底から飛び出す。そう、そこは戦場だ。まさに玉砕、ダイゲーム。場所によっては全滅してしまうところもあるだろう。それでも生き残った仲間の個体が卵を表層の流れに乗っける。

 盛大なバチ抜けとライズの中、僕はふと気付くとそんな思いを胸に釣りをしています。

 バチ抜けするするエリアは湾奥全部と書いても問題の無いほど多くのバチ抜けが湾奥のあちこちで発生します。その中でもずば抜けて多いのがお台場海浜公園や葛西臨海公園などのサーフを持つ場所、荒川や多摩川・旧江戸川などの河口域。また豊洲や有明の貯木場跡周辺にも多く発生します。そうみんなハゼ釣りの絶好ポイントなんですね。そこが砂泥であれば間違いなくバチ抜けします。ハゼ釣りを良くする人はバチ抜け期の釣りが得意なはずです。

 また、東京湾奥はなぜか日本にはいないはずの外来のバチもいますので同じエリアでもその種類の数だけバチ抜けが起きます。バチの種類については前に17種類前後と聞いたことがあります(数千種類という水産大の教授もいます)が、実際はどれくらいの種類が生息しているのでしょう。湾奥は1月初旬頃からゴカイのバチ抜けが始まって、6月頃まで色々なバチが抜けます。4月下旬頃には名前は知りませんが、長さ30センチ以上のバチが海面を漂ったりもします。


コイツがバチ。バチ抜け期のバチは自分の体重も支えられないぐらいブニュブニュしているのが大半。


よく見るとこのタイプには緑色のものと黄色のもの、赤色のものの3種類あることに気付きます。
それにしても気持ち悪いですねぇ。

 


風表の岸壁なんかはこんな感じでバチがたまってしまいます。この時もボイルボコボコですごくおいしい思いができました。 こんな場所をいかに探すか、ですね。

 

 


こういうミミズの形したやつばかりが抜けることもあります。実際に見るとこれはさらに怖いです。

 

 

 バチ抜け必勝三ヶ条とは?

 

第一条

 ○海底からバチが抜け出すのは満潮時間。

 むろん、河川では海底に戻りたくても流れに翻弄されて流されるだけのバチが下げ止まりまで確認できます。しかし、こういった場合はシーバスもほとんど口を使いません。

 シーバスの活性が最高に高まるのは満潮時間から3時間。特に下げっぱな。潮に乗って流れ出すバチと回遊するシーバスが出会って、あちらこちらでボイルが見られるのはこの時間です。湾奥の場合、バチ抜けが起きる全エリアが同じ時間に始まるということです。だから、その時合にもし目の前でバチ抜けが確認できなかったら、半分その日は負けゲームです。時間とエリアの読みが難しいけど、自然は人間にチャンスを与えてくれました。

 

第二条

○バチ抜けは一日で成らず。

 バチ抜けはバチの産卵行動です。バチのように大量の卵を海中に撒く産卵を行う種類の生物は結構多いです。それらの生物が産卵の際に求めるのは「より多くの子孫をより遠くに。」のただ一つ。これを覚えておきましょう。覚えておくというよりバチになりきることです。体をウネウネしろって事ではありませんよ。(笑)

 そうすれば

 ・なぜ潮が大きく動く大潮周りにバチ抜けが起きるのか

 ・なぜ満潮時間にバチ抜けが始まるのか

 ・なぜ水面に出てくるのか。

 が、理解できると思います。

 そしてもう一つ大事なこと。同じエリアの同じ種類のバチ(もしかしたら同じ個体のバチかもしれません。)がその潮周りの間(多くはその後の中潮も)、毎晩のようにバチ抜けを起こすということです。これは人間にとって神様がくれたチャンスと言えます。

 前日に例え外したとしても時合の最後までにバチ抜けしているエリアを見つけられたら、翌日の満潮時間リベンジを勧めます。特に大潮三日間は初日が盛大なバチ抜けであれば必ず三日間とも盛大にバチ抜けが起きます。インターネットを流れる情報を生かしてもいいでしょう。春にGETBOOKに爆釣情報が入ったらHITルアーを見ればバチ抜けを当てたかどうか予想はつきます。

 

第三条

○バチは泳ぐ、わずかな光を求めて。

 バチに目があるのかどうか判りませんが、バチは光を求めて泳ぐ性質があります。これは本来であれば大潮を知らせる満月の夜に月明かりを求めて海底から泳ぎ出すことで水面に浮上し、そこで産卵するという本能だけの産卵行動があるためです。

 しかし、日本の首都、東京は宇宙から地球を見た時に最も夜のネオンが明るい都市なんだです。そう、月明かりがなくても多くの明かりが水面を照らします。橋の明かりや街路の明かり、高層ビルの明かりなど、東京湾奥にライト無しで歩くことが出来ない場所は非常に少ないと言えるほど明るい夜を湾奥は持ってます。これがバチ抜けを狂わしています。新月でも潮が大きく動けば盛大なバチ抜けが起きてしまいます。小潮や長潮でも水面に煌々と照る水銀灯の下には明かりを求めてつい出てきてしまったバチが泳いでいます。

 ということで、東京湾奥のバチ抜けは満月でも新月でも起きます。

 

 なんとなくバチ抜けが見えてきましたでしょうか。エリアを知って時間さえ守れば猿でも簡単に釣れそうな気がしますが、やっぱりそんなに世の中甘くありません。

 

 

 

バチ抜け攻略メソッド

 

 

 

  それではバチ抜け時の攻略について書いていきます。

 バチ抜けの状況と思われる状況になった場合、基本的には表層から攻めていきます。それはいい状況であればトップウォータープラグのゲームも楽しめるからで、トップウォーターゲームの迫力を垣間見るいいチャンスだからです。

 バチは海底から出ると光を求めて表層に浮上します。表層に浮上するとわずかな泳力しか持たないバチは、ひたすら潮に流されていきます。あくまで明かりに誘われて表層に泳ぎながらどんどんと流されていきます。(水中にライトが灯る芝浦の某施設の場合、なんと水深2mのライトにバチが群がります。)

 そして、それを待つシーバスはどんな場所で待つのか。もちろんレンジは表層直下です。自分が安全でかつ確実に流されてくるバチを捕食しやすい状態を彼らは見つけだしてきます。

 

その1 橋明かりの明暗部の場合

 

 シーバスは光と影の境目を非常に上手に使います。風や潮の流れでわずかでも潮が流れ出すと彼らは必ず潮の上流側を向いてステイします。そして明るい側から暗い側に潮が流れていく場所を見つけると、暗い側から明暗の境目に鼻を付けるようにステイして流されてくるバチを待っています。こういったポイントは主に橋や桟橋などが挙げられます。

 こういったパターンは周年通して通用するストロングなパターンですが、周年通して通用する法則があります。それはシーバスがステイする水深レンジはその流れ全体で最も流速が早いレンジにステイするということです。

 風と潮の流れの向きが同じである場合、

表層が最も潮の流れが速くなります。この場合、シーバスがいてベイトがいれば、間違いなくシーバスは表層に浮きます。明暗の境目でライズが見られる状況になるはずです。アドバンスのガイドに乗った方であれば解ると思いますが、春の最も僕が得意とするパターンはこれです。この状況を見つけてしまえば陸でもボートでも大爆釣が味わえます。但し、サイズは選べません。

 この場合、上流側では入れ食いになりますが、下流側ではほとんど釣れません。そこで上流側に位置したら、表層直下を攻めることができるルアーをダウンクロスでキャストして表層リトリーブします。

 僕のお薦めは川ならフレッシュバック100SR、アイマKOMOMOSF125、サラナ11センチ。バチのサイズよりははるかに大きいですが、飛距離を考えるとこの辺になります。流れの中の場合、ルアーサイズが大きくてもレンジが合えばたいていはバイトが出ます。芳しくなかったら9センチぐらいまで落とした方がいいでしょう。この場合、ルアーの泳ぎがおとなしいソルティバディ90SRやアスリート9Fを使いましょう。

 使うコツとしてはレンジを合わせる事に重点を置いてキャスト&リトリーブを繰り返すのみです。流れにルアーが逆らいだした瞬間にバイトが集中します。(U字効果ってやつね。)

 ところが運河などの流れが弱いエリアの明暗部ではいきなり難しくなります。流れがないのでルアーを見られやすい、U字効果がほとんど望めないなど、不利な条件が揃います。よりマッチ・ザ・バチを突き詰めないとシーバスは口を使いません。

 


トラウト用が海にいいって話は情けなさすぎて嫌いなんだけど、これはとにかく釣れます。
何がいいかって?川の中で水の流れを受けた時のテールまでの水の流し方がいいのです。
そういうルアーは流れを受ける力が強くなってもリトリーブ抵抗が変わりづらいのです。
すなわち、トロトロでも激流でも、U字リトリーブの際に不安定な姿勢を見せることなく最後までしっかりと泳ぐということ。回ったり暴れたりしないので、明暗部最強の照合を与えてもいいかもしれません。

 

 

 

楽しいのは水面系

そこで水面から探っていく展開を試みましょう。

 まずはトップ。バチは水面を目がけて泳ぎ続けているわけですが、水面まで出ると頭を水面から少し出した状態で泳ぐようになります。ですから風の無い日や風裏などで水面が鏡のように静かになっていれば、バチはV字状の引き波を出して泳いでいるはずです。

この場合、水面を見てライズが散発でも出ているようであれば、最高のチャンス。この場合はマッチ・ザ・シチュエーションで攻めます。そう、V字にマッチさせるのです。キーとなるのは引き波の高さとV字の角度。引き波の高さはルアーのサイズと浮力を可能な限り水と同じ比重にすることで調整することが可能です。V字の角度はリトリーブ速度です。周りのバチを見て限りなく同じになるように引きましょう。そのうち水面が爆発するはずです。

こういったトップ系はそれができればどんなルアーでも構いません。ワームでも構わないし、リップの折れたミノーでも構いません。

僕がこういったケースで普段使っているのは

メーカー
モデル名
備考
メガバス DOG-XJr.コアユ改  
邪道 やる気スティック シーズン通して用ですが、春は文句なし。
ジャクソン にょろにょろ (フックを前後8番に交換)
     

 てとこでしょうか。

 

 

 

 

王道の水面直下

そんで水面系でダメなら水面直下で勝負を挑みます。往々にしてこのパターンがバチ抜けシーズン最強となります。ちなみに水面直下は周年通してベイトがいますので、非常に強いパターンです。バチ抜けシーズンだからとか、魚がバチ食っているからと縛り付けない方がいいと思います。

水面直下パターンで気を付けるのはバチのスピードとレンジです。スピードはある程度デッドスローであれば問題ありません。時々、超デッドスローでないと反応しないパターンがありますので、それに注意していれば普段はデッドスローで攻めていきます。レンジはバチのレンジに合わせるのではなく、シーバスがいると思われるレンジに合わせます。ストラクチャーなら水面下5〜50センチ。潮目や運河の合流点などは水面下50センチ〜1メートルといったところでしょうか。

 

僕の場合、レンジで使い分けています。

 

水面直下〜水深10センチ

メーカー
モデル名
備考
Z-Ray クエイク 水面直下5センチ・デッドスロー対応
宮丸 勝也 ソルティバディ90SR 水面直下8センチ
ティムコ ヴィクセン55F 至近距離用
アムズデザイン サスケSS−F 水面直下用
ティムコ ナイトレイド80F 水面直下用
アトール よれよれ 遠距離用

 

 こんなバチ抜けミノーを待っていた、Z-Ray、クエイク。このルアーの設計思想は素晴らしいの一言。フローティングながらもなるべく水と同じ比重にすることによりデッドスロー時のテンションのふらつきを完全に吸収した。水面には浮かず、決して潜らずの水面直下5センチをキープする。
  デッドスローで水面直下を泳ぐ姿はまさにバチ。アホみたいに釣れるが、いかんせん冬しか作らないし売らないしという残念なメーカー。ハンドメイドなのは仕方が無いとしても、お願いだから一年中作りましょう。

 

 

 プラスチックハンドメイドの雄、ソルティバディ。往々にして飛距離が出なくなりがちな水面直下系ルアーに圧倒的な飛距離を持ち込んだ。そしてやはり水面直下のキープ能力が素晴らしい。
  これだけの性能を超入手困難にしておくのは実にもったいない。量産化をすごく望んでます。

 

というか、このレンジに対して一個人のハンドメイドルアー以外にまともなもんが何でないのか不思議でなりません。日本の海のルアーはほとんど地方で開発されたか、ボートの上で開発されたかのどちらかということが問題だと思います。誤解を恐れずに書けば、今の海のルアーはアメリカン。とにかく大ざっぱすぎるのです。それでも地方は釣れるだろうけど、東京湾の陸っぱりはそう簡単にはいきません。繊細な攻め方が必要な東京湾でしっかりとした結果を出すルアーはほとんど無いに等しいです。
  最近、東京湾で開発されたハンドメイドルアーが非常に人気なのも、そういった原因にあると思います。毎度の即日完売のBANZAIを代表に、房総のMAPS!、湾奥のZ-ray。

僕みたいにそういったハンドメイドの才能が無いアングラーはどうすりゃいいの?
プラスチックメーカーの奮発を期待します。


ちなみに、タイプ2で姿を消したマサッチミノー (笑)。
美しくないし飛ばないし、普通にしか釣れないし。
僕がビルダーの夢をあきらめ、コンセプターとしてやっていく覚悟を持つきっかけとなった名品?

 

 


で、なんとか良いかもってのがヴィクセン。これもトラウト用なんですよね。飛距離は全く期待できないのと、フックが10番なのでフッコまでしか取れないのがネックですが、なかなか食わないライズに口を使わせる効果はスゴイの一言。銀箔モデルがえげつないと思う。

 

 

ちなみに口を使わないライズの正体ってのはだいたいこいつ。マルタもヴィクセンが大好きです。

 

 

京浜運河のバチ抜けライズってのはなかなか口を使いませんが、上に書いた明暗部パターンと水面直下パターンを駆使すればバイトが出てきます。で、マルタだったりすると残念なんですよねぇ。ルアーはDAZEです。

 

ちなみに僕はハンドメイドを買いあさって色々と使いこなすのが好きなのですが、ハンドメイドが財政的にもきついという人はけっこういるのではないかと思います。そんな人はプラスチックルアーをチューニングして使いましょう。

 

 

 

水面直下10〜20センチ

メーカー
モデル名
備考
宮丸勝也 ソルティバディ70 水面直下10センチ・デッドスロー対応
ラパラ ハスキージャーク8センチ改 リング交換・フック交換でフローティング化
水面直下10センチ
クール ターゲットミノー86SP改 水面直下20センチ
メガバス X−80SW 水面下50センチ
  リップインベイトF 水面下100センチ
     

このレンジになるとプラスチックルアーで良いものもたくさんでてきます。タイドミノーとかMとかみんなそこそこ釣れます。

流れが緩いところではサラナの80Fとか90Fもけっこう頑張ります。

 

 

 


ソルティバディで一番すごいのは70でしょ。 凄まじいの一言に尽きる飛距離と、抜群のレンジキープ能力はため息しか出ない。リアルの森田船長も絶賛の品です。しかし、とにかく買えない。

 

 

で、ハンドメイドルアーは売り切れ中のものばかりなので、お手軽チューニングで勝負するしかないのです。

その一つがハスキージャーク。相当な強さを発揮しますが、飛距離がないのが最大の欠点。

カラーはなんでもいいんだけど僕はコンスタンギーゴが大好きです。CDの時は使わないカラーだけどハスキージャークは絶対にCG。いや、単なる思いこみです。

 

 ターゲットミノー86SPはこれ以上ウェイトを絞りようがないセッティングなのでそのまま使います。このルアーのすごいところはデッドスロー時のローリングアクション。早く巻くためのルアーではありません。表層をテロテロと引いてみましょう。釣具屋で380円とか580円で売られている割には実力のすごいルアーです。これも飛びません。
  最近はなかなか買えないようなのでどうしても欲しいという方はネクストトゥイッチワンを買いましょう。価格が3倍高いだけでまんま同じルアーです。

 それと7センチでもどうしてもバイトが取れない状況になったりする時があります。しかし、それ以上サイズを落とすとルアーを飲まれてしまいます。飲まれるぐらいなら使うなといいたいところですが、それであきらめるのも忍びない。きちんと太いリーダーを付けて挑みましょう。

 この場合のお薦めはヴィクセン55FとX-55。X-55はサスペンドがお薦めでなかなかやってくれます。但し、カラーラインナップが最悪です。クラックライムチャートくらいしか釣れるカラーがないのできつい。ヴィクセンもパール系が無いのが残念でなりませんが、銀箔カラー、明かりのあるところでは凄まじい効果を発揮します。バチと見えるのかセグロと見えるのかはどうでもいいことで、ヴィクセン55Fの銀箔カラーが足下でなかなか食ってこないシーバスに口を使わせる効果はすごいもんがあります。

 

 

 次に水深1mラインの場合。後で書くけど魚は浮いているとは限りません。本当に爆釣パターンにはめるには、このパターンを避けては通れません。

リップインベイトF、レンジミノー、メケメケなどがお薦め。これらのミノーの特徴はレンジも表層ということだけでなく、デッドスローリトリーブでもきっちりと潜って泳ぐということです。逆に川で使おうものならルアーが暴れたり潜りすぎたりして使えないタイプ。これを明暗の境目でスローに動かすことでバイトを誘います。


ミッドレンジの主役、リップインF。水深1mのデッドスローでボディを妖しげに揺らせるのはこいつ以外知らない。

 

 一つアドバイスですが、初めは暗い側には決してルアーを入れずに、明暗の境目沿いにルアーを泳がすことが極めて重要です。暗い側に入れてしまうとすぐにバイトが得られますが、これでは魚を散らしてしまうだけでせいぜい数本しかヒットさせることができなくなります。なるべく遠くから慎重にアプローチして明るい側に誘い出してバイトさせることができると、最後に大型が釣れる可能性が高くなります。

 

 

上の図、もう一回出しましょう。

もし、もしというかこのケースの方が圧倒的に多いんだけど、潮と風が逆だったらどうなるのかって事です。

 例えば風が逆側から吹いていた場合、表層の流れは風に押し戻されるように止まってしまいます。すると魚は潮上を向くものの沈んでしまいます。沈んでも食ってくれりゃいいんだけど、川なんかで下げなのに風が海側から吹くと全然食わなくなってしまう。活性まで低くなってしまうのです。この場合、どうするか。同じ向きになる場所を探すか、同じ向きになるのを待つかって事ですね。

 じゃ、同じ向きなら猛烈に風が吹いていたらいいかというと、これもダメです。表層に波が立って波頭が崩れるほどになると50センチぐらい下の方が潮が速くなってきます。この場合、沈めれば食います。

 では、風と潮が90度ずれた場合どうなるのか。

 最重要点は流れが最も速いゾーンを探すことです。実際の地形は複雑です。風も回りに回ります。ポイントについて数投しているうちに見えてくるでしょう。風は目で見ればわかる。潮はヘビカバタックルで感じれば分かる。3Dで流れの当たるストラクチャーが見えたら勝ちです。

 ちなみに、潮の流れが弱い運河などでは風の影響が色濃く出ます。

 

 

 真の爆釣パターンとは。

  人間側から見るとバチが風で吹き寄せられて集まっている場所がいかにも釣れそうな場所ですが、そういった場所では不思議と芳しくないことが多々あります。バチがウヨウヨいて時々ボイルらしき音も聞こえるのに全然ヒットしない。そのほとんどの原因は海底により多くのバチがいる為にそうなることが多いようです。

 この時期のほとんどのシーバスは捕食の際に危険度が少ない海底付近でバチを捕食していると考えられています。バチが海底から這い出た瞬間に食べてしまう。確かに危険な水面まで出て捕食するより新鮮?で安全と考えられます。海底からエサが湧き出る以上、警戒心の強いシーバスなら滅多に水面に出ることはしないでしょう。

 こういった現象は水深4mよりも浅い海域でよく見られます。理由としてバチの生息数が圧倒的に多い水深ということ。ボトム付近でもシーバスがバチを捕食するのに必要な光が得られるということでしょう。説明するまでもありませんが、そういった現象はバチ抜けが起きる時間、つまり潮位の高い時間に起きることを忘れてはいけません。

 バチ抜けしている場所を探すには水面に浮いているバチを見つけることが第一でそのバチがどこから流されてきたのかを読む事で絞り込むことが出来ます。 たいていは明かりの下に集まっています。

 そんなボトム付近で捕食活動しているシーバスを狙うのに大事なことはルアーを見せることができるかどうかです。

 かといってもただ闇雲に沈めるのでなく遠浅という地形的に飛ばすという事を考えた方が良い結果が出ます。ルアーが泳ぐ水深は1m程度あれば十分ではないでしょうか。 リトリーブスピードはデッドスローが基本です。使うルアーサイズが7センチや9センチであってもシャローではデッドスローが強いです。

 僕の場合、シンキングミノーの飛距離を生かして人より遠くに投げて竿を立ててしっかりと水面直下を泳がせるメソッドを多用します。 そしてシーバスをかけてファイトを行うと他のシーバスは段々と沈みますので、2尾目以降はしっかりとリトリーブレンジを下げていくことがキモなのです。釣れた1尾目のレンジを意識し続けると失敗する事が多いようです。

 最終的にはボトムまで沈めてのデッドスローやショートトゥイッチが一番のヒットパターンになることも多く経験しています。

 次にカラーについてですが、この時期は産卵後の体力を回復しなければ、という事もあって極論を言わせてもらえば動くものなら何でも口にするほどの活性の高さを持っています。 だからこそ最盛期と言うのでしょうが、そんな時一番強いのはアピール力の強いカラー。イエローバックやレッドヘッドなどのパールホワイトを持つカラーに分があるように感じます。少し離れたところからでも湾奥のネオンに照らされて見えるためではないからでしょうか。

 このケースで僕のお薦めなのがジャクソンアスリートミノー。7〜9センチのシンキングタイプを使用します。定番中の定番ですが、いまだに他のルアーにない大きな利点を持っていると思います。 まず固定重心という構造上、リトリーブ中にジャラジャラ音が少ないことも静かなシャローで他を抜き出る秘訣の様な気がします。これは湾奥で圧倒的人気を持つラパラCDシリーズにも言えることで日々プレッシャーが強い湾奥において静かに泳ぐルアーが注目されてもいいのかなと僕は思ってます。

 次に足場が高い場所などではメガバスリップインベイトがお薦めでしょうか。深い場所ならシンキング、浅い場所ならフローティングを使います。細身系ながらかなりのウォブリングアクションを持つためにデッドスローリトリーブがかなりやりやすいので初心者の方にこそお薦めです。 キャストしたらそのルアーが泳ぐ最も遅いスピードで巻き続けることが大事です。(99年の釣り博セミナーでやったよね。)

 泳層は表層から段々と深く泳がせていきます。どんなにカウントダウンしても早巻きではラインの水圧に勝てずにルアーは浮いてきてしまいますので、泳層をキープしやすいこういったルアーを使うことも初心者の人には重要かと思います。

  それから最後にトップウォーターの話を。 湾奥の様々なポイントの中でも水深の浅いサーフ付近はトップウォーターが最も威力を発揮する季節です。しかもバチがうわずるこの季節にトップで釣った方が断然楽しいです。 水面に都会のネオンが映るベタナギの日にはぜひトップウォーターでチャレンジしてみて下さい。

 

 サブも押さえとけって

 またサブのパターンとして水深が十分にない状態であっても潮が動いている時間はその水域と隣接するシーバスの回遊経路、すなわち湾奥でいえば航路やカケアガリを攻める事が大事ということも知っておいて損ではないと思います。特にその水域の潮下側はシーバスがブレイク上から流れてくるバチを待つ場所になるのでメインパターンを凌ぐ釣果をもたらすことが多々あります。

これは特に神経質になることではなく、ブレイクの水深や地形に応じたルアーでくまなくチェックしていけばブレイクラインに着いたシーバスも取れるよってことです。

 

 

 なにも春はバチだけではない。常にスプリングベイトも意識すべし

  更にサブサブパターンも押さえましょう。サブのサブであってもメインパターンが完全にコケた時はこのサブサブがいくつつながるかが釣果の分かれ目になるのです。

 そのサブサブですが、何かというと湾奥のスプリングベイト、稚アユと背黒イワシです。「何?背黒イワシ?聞き慣れないぞ。」 との声が聞こえてきますが実はタダのカタクチイワシなんです。秋に来るカタクチイワシとはまた違った習性を持つので区別するように僕は呼んでいます。 そのイワシのサイズは大体11〜13aのものと5a前後のイワシ2種類が春の湾奥に入ってきます。 特に5a前後のイワシは真っ黒な固まりになって入って来ほどその数が多く、稚アユの存在とともに春のシーバスゲームは秋よりワンサイズ小さなルアーを使えという教訓を産み出した原因にもなっているような気がします。 この群れに付くシーバスも当然いますのでこの攻略についても押さえておかなくてはいけません。


こいつがセグロだ。写真のX-70と比較してみてくれ。


 キモは一つ。「潮流の側にある潮がよどんだシャロー」です。 湾奥の地図を穴が空くほど見てみましょう。それぞれのポイントには上げ潮下げ潮に関わらず必ず潮流が発生しています。そして湾奥にシャローはいくつもありますが、潮流が当たるところと当たらないところがあります。その潮流が当たらないシャローエリア。こういった場所は夜間に背黒イワシが固まっています。ポイント詳細は書きませんが、自分の足で探してみて下さい。

 この背黒にシーバスが襲いかかるのは南が吹いた時です。例えば辰巳水門横のシャロー。南が7m吹けば湾奥の潮位は推算潮位より30センチほど上がります。そんな時の満潮前後にシャローの中はスーパーライズ状態になります。

 背黒はやがてバチが終わるとともに初夏までのメインベイトになるので、彼らの性質や動きを良く把握しておいた方がいいでしょう。

 最後に5〜9センチ前後の稚アユも湾奥の春のベイトフィッシュです。しかし、地方で確立された稚アユのパターンは湾奥ではあまり通用しません。4月初旬からGWにかけて川を上り始めますので、橋下の明暗部、セカンドブレイクを意識した攻めで釣果が上がるようになります。

 

と今回はここまで。

 




トップへ戻る >>> Style -シーバス攻略法- >>>

 

©Copyright 1997-2006 Tokyo-Seabass-Net.All Rights Reserved.